水色の傘
![](//static.nanos.jp/upload/s/smilenico/mtr/0/0/20120131210038.gif)
「あ」
「どしたの祐希」
「雨降ってる」
「あー…」
帰ろうと思って靴を履こうとしたとき、ふと外を見ると雨が降ってきていた。
昼過ぎから曇ってきてたけど、ギリギリ家に着くまで大丈夫かなって思ったのに。
「祐希傘あるの?」
「ん、ない」
「もー、持っていきなよって言ったのに」
そういえば今朝悠太にそんなことを言われた気がする。
でも、悠太今日日直で先行っちゃったし、遅刻ギリギリだったから家出る頃には忘れていた。
だいだい、朝は晴れてたのに何で今降ってくるの?
家帰ってからにしてよ。
「しょうがないな…はい」
そう言って悠太が差し出したのは水色の傘。
でもこれ悠太のだよね?
「これ誰の?」
「オレの」
「悠太濡れるじゃん」
「オレは折りたたみ使うから大丈夫。
祐希使いなよ、濡れるでしょ?」
悠太は靴箱から折りたたみ傘を出す。
「行こう?祐希」
「あ…うん」
傘を開いて歩き始める。
悠太が貸してくれた傘に雨が当たって音を立てた。
前を歩く悠太の背中を見ると、傘が少し窮屈そうだった。
「(こっちの傘使えばいいのに…)」
悠太はいつもそうだ。人のことばっかり。
今日だってオレに長い傘貸してくれたし。
別にオレじゃなく他の誰かだったとしても同じなんだろうけど。
優しすぎるんだよね、悠太は。
でも。
「…ありがと、悠太」
小さくお礼を言う。
雨の音はオレの声を掻き消して、悠太には届かなかったと思うけど。
今日だけは、悠太の優しさに甘えてもいいですか?
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悠太は靴箱に置き傘常備してそうなイメージが…欠席裁判では持ってなかったけど
祐希の今日だけなんて絶対あてにならないよなーと思いながら書きました(笑
2011.05.14
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