微熱




今日は朝から不二の様子が変だった。


ふらふらするっていうから保健室に行けって言ったのに、不二は行こうとしなかった。
昼休み、本当にヤバそうだったから無理矢理連れて行った。
そしたら、熱。



「だから無理しないで保健室行けって言ったのに」
「んー…」



先生に伝えておくから、と言い残し、職員室へ向かう。
まったく…不二は自分のことに関して鈍い。すごく。



「(自覚ないんだもんな…)」



そういうとこがほっとけないんだよね。




「不二ー?」



授業が終わって放課後。
結局不二は午後の授業に出てない。
まだ具合悪いのかな。



「だいじょぶ?」
「ん」
「熱下がった?」
「微熱」



そう言う不二の顔はまだ少しつらそうだった。



「今日は部活出ないで帰りなよ。手塚に言っとくから」
「あ…ちょっと待って」



オレが手塚のクラスに向かおうとしたら、不二はオレの制服の裾を掴んだ。
そして、



「ちょっとだけ、手、握ってて…?」



そう言った。
いつもより白い顔で、弱った目で、そんなこと言われたら断れない。
オレは黙って不二の手を握った。



「ありがと」



不二はちょっとだけ笑う。
つながった指先が熱いのは微熱のせい?
それとも…





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自覚がない菊も好き。


2011.06.26


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