ひとり




ケータイのバイブが鳴るたび、こんなに苦しくなるなんて。



「あ、メール」


震えた携帯電話と、ディスプレイに浮かぶ不二の名前。
ケータイを開いて、不二のメールを読む。


From.不二
sub.(non title)

もう寝ちゃったかな…?
明日の練習試合、頑張ろうね!


ただそれだけの文章だけど、不二からメールが来た。
嬉しくて、同時に胸が苦しい。
不二が好きだから。

クラスと部活が一緒で、たぶん他の人よりは親しいと思う。
でも、不二にとってオレはあくまでも親友。
それ以上ではない。


To.不二
sub.Re:

まだ起きてたよ(^ω^)
がんばろ!


メールの返事を打って、送信。
ただこれだけの文字を打つのに15分かかった。
書いて、消して、また書いて。
馬鹿みたいだ。

みんなは不二の笑顔を見て笑い合う。
でもオレは直視できなくて。
目線はいつも下を向いたまま。
拒絶されるのが怖くて。
”親友”としてさえ見てもらえなくなるのが怖くて。
オレは一歩を踏み出せない。

好きにならなければよかったのかな…?

また、ケータイは不二のメールを受信した。
オレは今日もまた、ひとり。




----------
ポルノのラインを聴きながら書きました
ところどころにそれっぽい表現が…
不二からメールって珍しそうですよね


2011.12.11


[ 22/25 ]

[*prev] [next#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -