スロー
![](//static.nanos.jp/upload/s/smilenico/mtr/0/0/20120131210038.gif)
夕暮れの教室は、なんだかとても穏やかで。
「よっし、書き終わったぁ〜!」
そう言って菊丸は伸びをする。
学級日誌を書く菊丸と、書き終わるのを待っている不二と。
放課後の教室には二人だけ。
「日誌出してくる…って不二?…寝てる…」
日誌を提出してこようとした菊丸は、不二が寝ていることに気付いた。
夕陽を浴びながら、うたたね。
その顔が綺麗で。
「起きないとちゅーしちゃうよ?」
「……」
「…なんてね。
でも…誰もいないし、いいかなぁ…?」
そう言って顔を近づける。
いつもよりずっと近くに不二を感じる。
「…って、何してんだオレ」
唇が触れるか触れないか。
ギリギリのところまで近づいて、でも菊丸は触れなかった。
「さっ、日誌出してこよっかな!」
努めて明るく言う。
心臓の鼓動が不二に聞こえてしまいそうな気がしたから。
「…英二のバカ」
一人になった教室で、不二はゆっくりと身体を起こす。
鼓動が少し早い。
「心臓に悪いよ…」
小さく呟く。
心なしか、顔が朱い。
窓から入る風が妙に心地よかった。
放課後の時間は、ゆっくりゆっくり流れていく。
----------
36が好きです
なんていうか、等身大の二人が書きたい…
[ 20/25 ][*prev] [next#]