焦燥



「悠太くんはもうどこの大学に行くか決めてるんですか?」


本当はそんなこと聞くつもりはなかったのだけど。

今まで考えたこともなかった。
自分の将来のことなんて。
気付いたら4人一緒にいるのが当たり前だった。
2年生になってから千鶴くんが加わって5人になって。
過ぎていく毎日がとても楽しくて、離れることなんか考えられなくて。
でも、確実に、この日常には終わりが訪れる。



「ボクなんかまだ全然進路のこと考えてないっていうか、意識してないっていうか」



――おいていかないで。



「だから二人見てなんかびっくりしちゃって…
…びっくり?びっくりっていうか…なんか………」



漠然とした焦り?不安?
何ていうのかはよくわからないけど。
離れるなんて考えたくない。
現実と向き合いたくない。



「春、おへそ」
「え…あっ」



気付いたら、随分前屈みになっていた。
慌てて姿勢を正すと、悠太くんは。



「お服加減はいかがですか?」



悠太くんは、優しく微笑んで。
どうしてそんなふうに笑えるのだろう。
まるで、包み込むような。
全部、伝わってしまうのかな。
ボクの気持ち、全部。
―あぁ、適わないな。



「大変結構です」





----------
春ちゃん偽物…
この時期に大学調べたことないって遅いよ2人とも…と思ったのは秘密←


2011.06.20


[ 18/25 ]

[*prev] [next#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -