右手



この左手を、もっと長く伸ばせたら。




いつも一番大人なのは悠太なのだ。



「要?」


ほら、そうやってすぐ気付くんだ。
いつもどおりにしてるつもりでも、悠太は小さな変化を見逃さない。



「どうかした?」
「別に…何も」
「そう?」



柔らかく微笑んで悠太は言う。
その顔はすぐに祐希たちのほうへ向いてしまったけど。
見守るような瞳。
届かないな、と思う。



いつだったか、絶対に笑わないと思っていた悠太がこういう顔で微笑むのだということを知ってから、
その顔をこっちに向けてほしいと、少しでも近づきたいと、
思ってしまった。
その変化に自分でも戸惑う。




あぁ、

この左手を、もっと長く伸ばせたら。
君の右手を、掴めたら。





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3の4保護者コンビ(?)が最近好きです
悠太の前だと穏やかな要がいい…


2011.06.06


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