菊不二
2013/03/01 20:53

あの交差点は、キミとボクとの別れの場所。

いつものように部活が終わったら英二と一緒に帰る。
今日の部活のこと、教室での出来事、いろいろなことを話して。
ただそれだけなんだけど、すごく楽しい。
英二の隣は心地良い。
ずっといたいなって思ってしまう。

どんなにゆっくり歩いていても、必ずそこへ来てしまう。
英二は左に、ボクは真っ直ぐ。別れ道。

今日はこれでキミとの時間が終わってしまうんだなって。
そう思うと胸が苦しくなる。
また明日になったら会えることくらいわかってるけど。

「じゃ不二、また明日」
「うん、また明日」

ひらり、手を振ってキミは一人、歩いていく。
ボクはしばしその姿を見送って歩き始める。
今日も言えなかった言葉。

「えーじ」

小さく呟く。
キミに届くことはない。
好き、なんて、たったこれだけなのにいつも言えない。

好きな人に好きって言うことが、こんなにも苦しいことだったなんて。


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