5.謙光
2013/03/01 21:00

笑い合って、ただ支え合って、なんとか生きてる。


「謙也さん、そろそろ起きないと遅刻ッスよ」
「ん…あと5…」
「分で起きたことなんかないやろ!」
「いっだ!」


起きようとしない謙也さんの頭を叩く。
謙也さんは情けない声を出して涙目になっとる。


謙也さんは実家を継いで医者になったし、俺はずっとやりたかった仕事に就いた。
自分の好きなこととはいえ、仕事は楽やないし、しんどいことのほうが多い。
それは謙也さんだって同じ。むしろ、俺よりきついと思う。
ようやく夢が叶ったんやから頑張らなあかんってわかっとるけど、でも心が折れそうになることがよくある。
けど、不思議やんな。謙也さんが笑っとってくれたら、いや、隣におってくれたら、それだけで頑張ろって思えんねん。
思い通りにいかないときも、何とかなるかもしれへん、って。


謙也さんにはいつも助けてもろてばっかやんな、って前言うたことがある。
そしたら、謙也さんは「むしろ光に助けてもろてばっかやで」って言うて笑た。
お互い様なんやろな、きっと。


謙也さんとならどこまででも歩き続けられるんやないかな。
楽しいことも苦しいことも、二人で乗り越えていきたい。



BGM:旅人/GReeeeN



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