信の家


端の殆どの家は煉瓦造りのようで、おそらく、煌帝国が起こる前の国のなれの果てと思われる。それらに挟まれるようにして立ち並ぶテントの数々。

漂う悪臭、死んでいるのか、生きているのかさえ分からない、倒れている人間達

呻き声がひっきりなしに聞こえてくる。


・・・・ここがスラムか。さすがに、ここまで酷いとは思ってもみなかった。

煌帝国といえども、スラムとなるとどこも同じなようだな。


「おい、何ぼさっとしてんだ。まずは、俺んとこに寄らせてもらうからな!ぼさっとしてるとおいてくぞ!!!」


「・・・・・・・・・ああ。すまない。」


信にとってはもはや日常と化しているのか、表情を変えずにずんずんと進んでいく。

信の家は暫くしたところにあった。


「おーーーい。帰ったぞーーーーー!今日は客が一緒だ・・・って、うわぁ!!」


「お帰りィーーーーーーーーーー!」

「おっかえりィーーーーーーーーー!!!」


ダダダダダダと勢いよく飛びつく子供。倒れる信。

・・・・・子供ってのは怖いな。


「・・・・・・・・・・信。生きてるか。」


「ごほっ、な・・・なんとか・・・・・って、重いっ!!」


おりゃーーーと2人を引き剥がす信。どちらもまだ幼い。5,6歳ほどだろうか。


「きゃーーーー!しんが怒ったぁーーーーーー!」

「おこったぁーーーー!!」

ケラケラと笑い合う2人。どうやら、女の子と男の子のようで、男の子の方が幼いようだ。


「あのなぁ!今日は客が来てるっつっただろ!!!ちょっとは大人しくしろっ!」


「・・・お客さん?」

「おきゃっくさん?」


「ああ、だから兄ちゃんもうちょっと家を空けるから、2人で待っとけよ!

 あと、今日は飯があるから。ほら、ちゃんと仲良く食えよ。」


「うわぁーーーーーーーー!パンだ!」

「ぱんだ!!」


ご馳走だ!ご馳走だ!と目を輝かせる2人。余程うれしいのか、床を駆け回っている。


「・・・・・へぇ。なんだ信、ちゃんと本当だったじゃないか。」


「はぁ?なにが本当だって?」


「フフフフ。いや、なんでもない。」


「はぁ?ホント何なんだお前」




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