繁華街にて ---------------------------------- □煌帝国スラム地帯 豊かで盛んな街として知られる煌帝国だが、その帝都近くには、スラム地帯が存在している。 日照り、干ばつ、洪水、などの災害により今年は特に貧民が急増している。 強盗、暴行、殺傷事件が多発する地域であり、注意されたし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー まぁ、でも、僕的にはとてもオススメ。と書いてある付箋の貼られたページ。 「ふーん。ここもここで大変なんだなぁ。スラム地帯かぁ。後で行ってみよう。」 豊かなところにもやはり、影の部分はあるようで、世の中難儀なものだ。 「おい!誰かその餓鬼を捕まえろ!盗人だ!!!」 叫ぶ声が耳に入り、思わず振り返ると、その瞬間、横を子供が通り過ぎる。 ・・・・・・あれか。 「待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 そのすぐ後を、商人と思われる男が追いかける。 成人男性とまだ年端のいかない子供の足の速さなら、すぐに追いつかれてしまうだろう。 そう思っているうちに子供がつかまってしまったようで 人だかりのできている場所に向かうと、声が鮮明に耳に入る 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ごめんなさいィィィィィィィィィィィ!!」 「今日こそは逃がさねぞ!!覚悟しろ!!!店のもんを盗みやがって!!こんの悪餓鬼が!!」 「・・・・!お金が、お金が入ったら払いに来ますから!!!お願いです!妹たちがスラムでお腹をすかせて待っているんです!!」 「そんな手には騙されねぇぞ!うちだってこんな景気で商売あがったりなんだ!いいわけなら、お役人に言うんだな!!」 「・・・・・!お願いします!それだけは!!お願いです!!本当なんです!!信じてください!!!お願いです!お願いですから!!!」 「ごめんなさい!ごめんなさい!!!許してください!お願いします!!!お母さんに、食べ物がいるんだ!じゃないと、死んじゃうんだ!お願い!お願いだから!!」 「そんなことを言ったって無駄だ!!いいから、来い!!!」 『ねぇ、どうしてあの子は怒られてるの?』 「それは、盗みをしたからです。世の中にはお金というものがあって、それを払わなければ、食べ物は買えないのですよ。」 『・・・でも、あの子はお母さんに食べ物をあげたいからって言ってるわよ?死んじゃうって・・・・』 「そんなのは嘘ですよ、よく子供はそういう嘘をついて、お役所に行かないで済むようにしたいのです。」 『・・・・・でも、あの子は泣いてるのに・・・・』 「それも嘘泣きに決まっていますよ。 さ、行きましょう。あなた様はこんなものを見てはいけません!帰りましょう。」 あぁ、また、嫌なことを思い出してしまった。 「無理だって言ってんだろ!!いい加減おとなしくついて来やがれ!!」 「・・・・・・・・・・ちょっと」 「ああん?」 「それ、いくらですか?」 「はぁ? なんだ兄ちゃん、あんた、こいつを庇ってんのか? やめとけ、どうせこいつの言ってることなんか嘘に決まってんだ。こんな奴は、お役所に引っ張っていく方が世の中のためなんだよ。いいからどきな。」 「・・・・いくらですか?」 「あのなあ!」 「・・・これで足りるでしょう。その子を離してくれ。」 「なっ……! ちっ、ほらよ! ったく、命拾いしたな糞餓鬼が!次はないからな!」 「……っ!」 なんだ、終わりか。と野次馬達も散らばり、市場はまた同じように賑わいはじめた。 [back] |