記憶


ーーーてーーーー


ーーーーたーーーーーけーーー




あぁ、やめろ、やめてくれ



ーーーーーたすーーーーーーてーーーー



無数の闇が手を伸ばしてくる

私は決して、それに捕まってはならない

それに応えてはいけないのだ






ーーーーーーーー助けて、お姉ちゃんーーーー!!!






そう、たとえ、血を分けた家族であっても









「うわああああああッ!!!」



ガバッ!と身体がはね起きる。



「、、、ハァッ、ハァッ、、、ハァ、、、、また、見たのか」



自分の叫び声で起きるのは何度目のことであろうか。

もはや、数えられるような数ではないことだけは確かだ。



「ハハ、、、、ここ最近見てなかったんだがなぁ」


まぁ、怪我やら何やらで見ている余裕も無かったのであろうが、久々に見たせいで精神的ダメージが大きい。


「、、、、、ちっ、絶対アイツのせいだ」


最近出会ったあの紅い髪の男のせいだと思ってしまうのも仕方のないことではないはずだ。


というか、後で使いを遣ると言われてから、結局、部屋を教えてもらっただけで何の音沙汰も無いとはどういうことなのか。


「、、、、、、、、流石に何もしないのはなぁ」



ご飯だけ食べさせてもらうなどというのは、性に合わないのだ。



「、、、、んー、、、何かないかなー」




「何か考え事ですか龍さん」

「おー、、、って紅さんじゃないですか
 入るときはノックしてくださいよ」

「しましたよ。貴方が鈍くさいが故に気づかなかっただけでしょう」

「あれ、今さり気なく悪口いいました?」

「はて、何のことでしょう?」

「、、、、俺、紅さんのそういう所嫌いじゃないですよ!」

「、、、はぁ、紅炎様はこの者の何処が気に入ったのやら」


ニカリと親指を立てて言うと、呆れた表情の紅さん。

紅さんはあの紅い髪の奴(紅炎)の従者だそうで、私のお世話係である。この部屋を教えてくれたのも紅さんだ。
丁寧な口調だが時々辛辣なことを言う。そーいうのは嫌いじゃない。


「ところで、、、、ゴホッ、ゴホッ」

「、、、大丈夫ですか紅さん」


そして、口調の割に衛生面は雑そうでその長い紅い髪はボサボサだ。さらに、健康も良くなさそうで、いつか倒れるのではないだろうかと思われるほど顔色が良くない。


「ゴホッ、、、大丈夫です。ご心配には及びませんよ」

「倒れたらいつでも俺が受け止めますから!」

「貴方に受け止められるなら死んだ方がましです」

「えぇー、、、、あ、ちなみに用件はなんですか?遂に俺にも仕事が!?」

「、、、まぁ、そんな感じです」

「えっ、その一瞬の間はなんですか!?そんな感じって何ですか!?」 

「細かい事は気にしないでください。仕事ですよ仕事!!少々体力が要りますが、、、、」

「体力なら任せてくださいよ!」

「、、、、はぁ、そう言うと思いましたよ。
城外で賊が出たようです。煌帝国で処理するにはあまりに規模が小さく、軍を出すほどでもないので、貴方に討伐をお願いしたいということでしたが、どうですか?」

「おぉ!賊ですか!いいっすねー!もちろんやるに決まってるじゃないですか!!!やりますよ!」


「分かりました。では、明日の朝出発としましょう。準備はしといてください」

「了解しました!!!」


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