なんですと!?


「お前、俺の従者になれ」



「はあああああああああああああああ!!?」



二人の驚きの声が上がる少し前、そう、蘭が扉に突っ込んだ時まで遡る









「いっ、、、、つー、、、!」


あの堕天のマギの放った魔法により吹っ飛ばされ、その先には不運にも扉があり、頭から突っ込んでしまった。


どうやら、扉の残骸に覆われ思うように身動きが出来ない。所詮は女の力だからか、動かそうとしてもガタガタと鳴るだけだ。



「マジで、何なんだあいつ!」


あーー、痛ぇ、、、と、そうぼやくと、外で紅玉の呼ぶ声がする。


「、、、大丈夫ですの!?お客様!?」


無事を伝えるために何とか腕一本を外に出し助けを求める。


その時、不意に、何か柔らかいものが下にある事に気づいた。


「ん?なんだ?、、、、、なっ!?」


目線を向ける


「、、、やっと気づいたか、、、おい、お前、そこを退け」



そこには何故か人の姿があった。つまり、向き合わせの状態


「すすすすす、スミマセ、、、、痛っ!!!」


慌てて仰け反るが周りは木片で強かに頭を打つ


「、、、、早く退け。」


「いや、周りが木片ばかりで身動きが取れないんですよ!」


「どうにかしろ」


何だこの人!傍若無人すぎる!


「いや、だから無理ですって!」


「、、、、はぁ、なら俺がやろう」


「、、、、へ?、、、うわっ!!」


そう言うやいなやグワッと体を起こし始め、いつの間にか横抱きにされていた。

そして無事に脱出


紅玉が驚きの声をあげていたが、それも無理もない。突然、男に横抱きにされてでてきたら誰でも驚くだろう。



「、、、、あの、有難うございます。降ろして下さい」


「、、、、。」


「、、、、あの!だから、俺別に自分で立てます!!降ろして下さい!!!」


「、、、。」


「無視!まさかの無視!だからさっき踏んでたのは謝ったじゃないですか!というかそもそも、あの神官のせいですからね!?」


そう言うものの何故かこちらを見たまま反応しない男。


何なんだ!?あのマギと言いこいつといい!言葉が通じないのか!?そうなのか!?


そう思っていると、男が口を開く


「、、、、お前、名前は、、、。」


むっとしていたため突っ掛かるように答える


「、、、、そういう時には自分から名乗るものだと思うんですけど」


そう言うと何故か男は笑みを深めて言う


「、、、、フッ、、、そうだな。俺から名乗ろう。俺の名は"練紅炎"だ。」



名前は練紅炎、というらしい。

「おぉ、練紅炎か、、紅、、、、ん?」


名前を知って気づく。そういえば、官吏にしては服装が豪華すぎる。髪も赤い。そして、練の名、、、って、もしかして、、、、?

恐る恐る口を開く


「、、、あれ、紅玉ちゃん、、、こっ、この人、、、きっ、君の、、おっ、お兄さん?」


その問いに全力で頷く紅玉ちゃん。

ビシッと、その場に固まる。


え、何?つまりは煌帝国の皇子を踏んでしまった挙句、横抱きにされて助けだされ、生意気言ってしまっていたということ!?


くれぐれも騒ぎを起こすなって言われてたのに、騒ぎを起こすよりもやばいことになったよ、、、


終わったよ私の人生、、、



「、、、お前、名前は」


そう思っていると、名を尋ねて来る男、いや、練紅炎。

逆らっても良いことはなさそうなので素直に教える。勿論偽名だ。

「、、、、、龍です」



「、、、そうか、龍か」



そう言うと何故か無言になる男。


何だ、何か問題でもあるのか!?

というかいつになったら降ろしてくれるんだ!?



「あの、、、」

「却下」

「いや、まだ何も言ってない、、、」


そう思っていると、即答された。


「、、、気に入った」

「はい?」

気に入った、、、って何に?






「龍、俺の従者になれ」


「、、、は?」
「、、、え?」



、、、、従者、従者って何だっけ?ん?従者?

従者ってことは、、、、、、え、、、、?











「「ええええええええええええええええ!!?」」


二人の声が煌帝国に響き渡った


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