第八皇女


「………あら? もうお加減はよろしいのですか?」 


「うぇっ!あっ、はは、どうもおかげさまでー」

物珍しそうに、棚においてある小物やら何やら、高そうな装飾を見ていたら、注意散漫になっていたようで

近づいてきた影に気付くことができず、みっともなく驚いてしまった。

それにしても、商家にしては豪華すぎやしないだろうかここは。


そして、どうやらこの赤毛の、いかにも良家の娘という格好をした子が助けてくれたようだ

慌てて笑って誤魔化すものの、不審げに見られる。


「ちょっと、珍しくて、、、、」


「あぁ!それはそうですわ!お兄様が西方から帰っていらした時に下さったものですもの!」


「はぁ、、、」


いきなり、パァッと笑顔になったことに戸惑ったが、まぁ、結果オーライだ。


名前は、紅玉と言うらしい。

何でも、従者と逸れてしまった所で私と遭遇し、助けてくれたようだ。


「あの、ホントにありがとうございました。」


「いえ、そんな、お礼なんていいですのよ!

ところで、、、なぜ、その様なお姿で居らっしゃるのですか?女の方でございますのに、、、まるで男の方のような、、、」


そういえば、小奇麗な包帯が巻かれていることに気づき、この子が私の着替えもしてくれたのだろう。と察する。


「あぁ、まぁ、家の事情が有りましてね。」


「はぁ、、、その様なお家もあるのでございますね、、、」

何故か感心したような面持ちでそうつぶやく。

普通なら怪訝な顔をされるものなのだが。

変わった子なのかもしれない。




そして、何より気になるのは


「あのー、その簪、素敵ですね。少し見せて頂いても、、、?」


「え、、あ、あぁ?これですの?これは、私のお気に入りなのです。」


嬉しそうに簪を差し出す様子に思い入れがあるのだなぁ、と思いながら受け取る。


そこにはやはり、五芒星が書かれていた。魔神との契約の証。


なぜ、この子がこんなものを持っているのか。
魔神を使いこなせるような人物には見えない。

確かにマゴイは並よりはあるだろうが、、、






「おーーーい、ババァ、きたぜぇーーーー」

「なっ!ジュダルちゃん!だから、ババァは止めてって言ってるじゃない!!!」

「えーーーーーー。ババァはババァだろ。


ーーーーーーーーーあれ、お前、この前の強いやつじゃん。」


「なっーーーーー!?」


あぁ、納得がいった。

商家にしては豪華すぎる部屋

西方の土産

五芒星のついた簪

堕天のマギ


ここはーーーーーーーー


「なんだよーーー俺と遊びに来たのかよーー

いいぜーー!遊んでやるよ!!!」



煌帝国、その本拠地の真っ只中だったのだ


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