出会いの手前


煌帝国城下

「夏黄文!?夏黄文!?」

おかしいわ、いったい何処に行ったの!?

余りにもつまらな過ぎて、駄々をこねて城下に連れて来てもらったまでは良かったものの

肝心の臣下の姿が消えてしまった。

慌てて辺りを見渡すもののそれらしき姿は見えない。

…これは……チャンスだわ!!!

いつも、共を連れないと何処へも行けなかった自分に神様が機会を下さったのだわ…!!

周りにはたくさんの店が並んでいて、どれもが賑わいを見せている。

幸運な事に、さっき夏黄文からある程度のお金をもらっておいたので、自由に買い物を楽しもうと気分も良く歩き出したのだった。

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私の名は夏黄文。
煌帝国第八皇女の紅玉姫の側近を務めている。

この前、姫を使っての出世の道が絶たれたとこで、まぁ、罪悪感もあって、姫の我が儘をきいて城下にお連れしたまでは良かったもののハグれてしまい、目下捜索中である。

捜索隊を出してもらった方が手っ取り早いが、主を見失ったなど、側近の名折れである。言えるわけがない。さらに出世の道が絶たれてしまう!

というか、ホントに何処に行ったんだ姫!!!お願いだから出てきてっ!!!

「紅玉様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

しかし、叫ぶ夏黄文の声も虚しく、姫が出てくることは無かった。


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