応戦 「ちょっと待てよ。」 「・・・・・・ッ。何すか?」 くそ、あと少しなのに。 「・・・・なんで、そんな嘘をつくのか知らねぇけど、せっかく、ここまで来たんだ。 お前、強ぇみたいだし、俺と遊べよ!! 降り注ぐ氷槍(サルグ・アルサロース)!!」 「・・・・・・ッ!!!」 降ってくる氷を咄嗟にボルグで防ぐ。 「おぉーーー、なんだ、ボルグが使えんのか! いいね、いいねー!もっと殺りあおうぜ!」 「・・・・ハハハ。悪いけど、お前と殺り合うつもりは無い。せっかく、人が渾身の演技をしたっていうのに、無駄にしやがって」 「あー?んなの演技したって無駄だよ、こいつらの仲間にしては、お前、強過ぎるよ。」 「・・・・はっ、それはどーもっ!!」 尚も降り続ける氷。ボルグでは防ぎきれず、必死に避ける。 「はははは!!強えー強えーー!いいーねー、次はデッカい奴だ!!防いでみろよっ!!!」 巨大な氷の塊がまるで矢のように降りかかる。 ボルグでは……………防ぎきれない!!! 「……!……ぐはっ、くっ、マギが……っ!!」 ギリギリで交わしたものの、腹部に一部が刺さる。 マゴイが使い放題だからって、好き勝手やりやがって………!!! ここは室内だぞ!! 最早、天上は氷によってボロボロで、恐らく、外では野次馬が集まっているのだろう。 何事かと騒いでいる様子が耳に入る。 「おらおらおら!どうした!反撃しろよ!お前、金属器持ってるだろ!?使えよ、お前の金属器!」 ・・・・くそ、やはりバレてるか。だが、何の魔神かはバレてはいないはず。 どうしたものかと、五芒星のついた自身の愛刀を見つめる。 ・・・・こいつを使えばきっとバレる。何とかここを抜け出さないと。 策を考えていると、ふと、かつて、天才と呼ばれたある人の魔法を思い出した。 ・・・・・くそ、一か八かやってみるか 「おらおら!早くだせよ!お前の金属器を!!!」 「・・・・ッ!・・・ハハハ、悪いな『マギ』よ。これは、俺の大事なもんなんで、ここって時にしか使わねぇんだ。 そして、俺はお前と殺り合う訳にはいかねぇ。 また、会ったら、今度は相手してやるよっ!! 光線(フラーシュ)!!!」 閃光を部屋に放つ 「・・・・ッ!なんだ!?」 眩しさに目を背けたであろう瞬間に、自らに魔法をかける。 「隠者の水膜(シャラール・マグド)」 それは、瞬く間の事であった。 もはや、そこに人影はなかった。 「・・・・ッ!?消えたっ……! くそ、これからって時によー、なんだよ、久々に楽しくなると思ったのによー! ・・・・あ、やべ、紅明と軍議があるんだった。 あー、めんどくせぇーー!はぁ…やめだやめだ!帰る! あ、そうだよ、今度会ったらやってくれるっつってたし、探しに行けばいーんだわ。」 その日、少し上機嫌な神官の姿が目撃された事だった。 [back] |