あら、見られちゃった 無数に空いた穴 一面に入ったヒビ そこらじゅうにまき散らされた血痕、人の、残骸 それらの無数の破壊の痕跡を見れば、相当な戦いが繰り広げられていたのだとわかる。 それなのに――――――― ・・・・・ その中心にいた少女はあまりにも無傷すぎた。 その手足には一つの傷跡もなく 着ているものにも一つの傷跡もなく 髪も乱れずに 血まみれの少女はたたずんでいた。 彼女にまみれた血は、おそらく周りの、もはや原型もとどめていない者達のものだろう。 これまで、いくつもの戦いを見てきた。いくつもの殺しを見てきた。 何かの気配を感じてきてみれば、これだ。 山積みになった死骸の山 その光景に不釣り合いすぎる少女 ふと、彼女が振り返った。 「・・・・! おっと、見られちった。」 そして、呆然と立ちすくむ双識に妖艶に微笑む。 「こんばんは。殺人鬼さん。 ちょっくら私と殺しあってみないかい?」 それは、まだ双識がマインドレンテルとも、二十人目の地獄とすら呼ばれていないときの話 [back] |