▼ そーゆーことは早く言ってよ。
カァーッ!カァーッ!カァーッ!
「なーー、まだかーーー?」
「レイさん、またですか!さっきもまだだっていったじゃないですか!」
「えーー、まだかよーー。帰っていい?」
「だめですってば!!!!」
「えーーー、帰っていい?」
「だめ!!!!」
「えーー」
烏の鳴き声も聞き飽きるほど。
押し問答を繰り返しながらかれこれ30分、いい加減ただ歩くだけなんて疲れた。
お礼をしたいというので、家まで案内してもらっているが、
(ーーーーーー遠いー)
この島は、こんなに広かっただろうか。
というか、ここはどこだ。きたことないぞこんなとこ
辺りは鬱蒼とした山道で、歩いている道もとても舗装されているとはいえない獣道だ。
獣の気配がするものの、姿は見えない
こんなところに住んでるなんて
見かけによらず、たくましいのかもしれない。
人は見かけによらないもんだなぁ。
だが、それにしても、まだなのか、とまた口を開きかけていたその時ーー
「あ!レイさん、もうすぐですよ!この林を抜けたところですよ!」
待ち望んでいた言葉に嬉しくなる。
「本当か!やった!そうとなれば、先行くぞ!!」
先に行っても、親には説明すれば大丈夫だろうと駆け出す。
「えっ? あっ、ちょっとレイさん!!!走らないで!そしてまだ説明がーーー 」
リンネが何か言っている気もするが、、、もう、こうなったら止まらない。突き進むのみだ。いい加減歩くのにも飽き飽きしていたところだ。
レイは意気揚々と、足取りも軽く駆け出したのであった。
「ーーーーーー行っちゃった」
これは、、、、、どうしよう。
あんなに余力があるなどと思ってもみなかった。普通の男でさえ駆け出すことなど出来ないくらいの険しい道のりだったのに、と予想外の事に軽く混乱する。
あんなに強い女の人は初めてで、彼女なら大丈夫だと思い、助けてくれた恩人に何かお礼をしたくて、連れてきたものの、このままでは彼女を殺してしまうかもしれない。
どうしよう、あの先、、、
「よっしゃぁーー!!!抜けたぁーーーーーーーー
ーーーーあれ?」
崖なのに。
((うわぁァァァァァァァァァァァァァァァァァ))
(やばっ!レイさぁぁぁぁん!!!死なないでぇェェェェェェェェェェェェ!!!)
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