第一夜  その名はアラジン


我が王よ、偉大なる魔法使いよ、貴方の願いを叶えます。

巨万の富も 

幾億の星々の支配も 

永遠の命でさえも思いのまま、




さあ、
貴方の願い事はなんだ?


――――――――――――――




オアシス都市 ウータン

様々な土地から訪れる商人達と珍しい商品で賑わっている。

「買った買った!!
 新鮮な西瓜、ハミウリ、白杏子(しろあんず)、馬椰子(うまやし)
 この町じゃ穫れないもんばかりだよ!!!

 カバブのお兄さん口直しにどう?
 飲んだくれのおじちゃん これ、酒にもできるヨ!」

男の商人達の野太い声の中、少女の声はよく響く。

その明るい声もあって、特に賑わいを見せていた。


「完売間違いなしだろ。」

「すごいわ、ライラのおかげよ!
 あなたが我が家の隊商に入ってくれて、本当によかったわ。」

「エヘヘヘ
さーて、張り切って売るぞー!
 なんせ、無事に運びぬいた・・・ 大切な商品だもんな!」

褒められると俄然やる気はわくもので、よし、もっと売ってやろうと商品を追加しようと、馬車へ乗り込もうと布をあげる

           ばさっ!!

さぁ、またどんどん売らないとなぁ!

           「!!!!」


       ま゛りま゛りま゛りま゛りま゛り・・・・ 

          ムシャムシャムシャ・・・・

いい音を出しながら食事をする少年。

待てよ、ここはうちらの馬車だよなぁ。

ん?てことは食べてるのは商品か。

そうかそうか。

「………………………。」



「キャ――――――ッ!!」

「な・・・なんだてめ―――――――ッ!?」



 !


「やあ。
 僕はアラジン。 旅人さ。」


にこやかに言い放った少年にひとまず拳骨を一発くらわせておき、大切な商品の無事を確認するため馬車に入った。


「てめーーーー!いったい、いくつ食いやがったんだクソ野郎ーーーーーー!!!!!」


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