失恋レターのちLOVE

あなたの事が好きでした。


きっかけは席が隣になったこと。
はじめは、ただ、凄くいい人だなぁって、思ってただけだったのに。

いつからか、あなたを目で追うようになりました。


あなたも私を気にしてくれてた、、、なんて、自意識過剰だけど、思っていました。ホント、なんて、馬鹿な自分なんだろう。


今は、そうだね、まだ、、、多分、、、いや、そう、好きです。


多分、忘れるには時間がかかると思いますけど、ちゃんと、整理をつけるから。だから、友達でいてください。


そして、どうぞ、幸せになって。ホントに、こんなに愛せたことが幸せでした。ありがとう。あなたの幸せを願っています。



                  

「っぐ、、、よし、、、書けた、、、。

、、、、っぐ、、、ひっく、、、」


一人、教室で書き終えたばかりの手紙を握りしめる。

あぁ、涙が出てくる。



ガラガラ、、、


「あーもー、また泣いてるのあんたは!いい加減しゃきっとしなさいよ!」


扉の開く音がして、目を向けるとそこには親友のナミがいた。呆れた顔で見てくるが、もうその顔にも慣れてしまった。


「、、、っぐ、、ナミぃぃぃ!だってぇ、、っ!」


「はいはい、今度はどうしたの?この前の、、、えーっと、誰だっけ?」


「、、、グスッ、コアラちゃん。」


「そうそう、そのコアラちゃんと二人で帰ってたとか言って泣いてたわね。何、今度もなんかあったの?愛しの"サボくん"に」




そう、私は、同じクラスのサボくんが好きだ。

凄く優しくて、でも、どこか子供っぽいサボくんに、私はいつの間にか恋をしていた。


でも、


「グスッ、、、見ちゃったの」


「何を」


「グスッ、、、、コアラちゃんのっ、、、家からっ、、、サッ、、、サボくんが出てきたとこ!」


そう、それは、昨日のこと。部活から帰るときに、たまたま、本当にたまたま、コアラちゃんの家からサボくんが出てきたのが見えてしまったのだ。


思わず家まで走ってしまった。



「へぇーーー。」


「へ、へぇーーー。って!これはもう付き合ってるフラグじゃん!?泣きたくもなるよね!?ね!?」


「私だったら問い詰めるわね」


「ワーナミサンツヨーイ」


「何よ。」


「私にはそんな勇気ないの!」


そう、ナミは良いよ。美人だし、スタイルも抜群で、男の引く手あまただし。


それに比べて私はとてもじゃないけど美人だなんていえないし、スタイルだって普通だ。良いとこなんてない。おまけによく泣くし。



「ふーん。それで?その手紙は?」


「、、、失恋レター」


「なにそれ」


「好きでした、幸せになってくださいって事を書いた手紙です」


「なに、渡すの?それ」


「渡せるわけ無いでしょ!書いて気持ちを落ち着かせるためのものなの。」


「ふーん、せっかく書いたのに勿体無い。


 ねぇ、アンタもそう思うでしょ?」


何故かニヤニヤしながら言うナミ


笑い事じゃない!と反論しようと口を開く



「いや、思わな、、、」


「あぁ、俺もそう思う」


「、、、なっ!?」


後ろから聞こえた声に思わず振り返る。


「俺宛だろ?見せてくれよ」


そこにはニヤニヤしながら手を出すサボくんがいた。

突然の事に頭の中はパニックだ

思わずナミを見るとニヤニヤしながらこっちを見ている。


わざとだ、、、!!絶対わざと呼んだんだ、、!

なんてことをしてくれるんだ、、、!と目で訴えると、どこ吹く風で席を立つ


「じゃ、ごゆっくりーー」

「なっ、ななななななな!!!?ナミ!?」

「おー、サンキュなーーー」

「これ、高く付くわよー」

「おー、任せろ」


なに!?これって何!てかどこ行くんだナミ!私を一人にしないで!羞恥で死ぬ!!


その願いも虚しくナミは、何処かへ行ってしまった


二人きりの教室


、、、、気まずい!


どうしようかと、思考を巡らせていると、何故かサボくんが前の席に座り向かい合う形になる



、、、あぁ、かっこいいなぁもう!

って、そんな場合じゃないんだよ!ど、どうしよう、、、!


「プッ、、、ハハハハハ!小鳥遊動揺しすぎ」

何故か吹き出すサボくん


「なっ、、!そ、それはそうだよ、、!」

「なんで?」

「いや、なんでって言われましても、、、」


そんな、私があなたの事が好きって事がバレてしまったかもしれないなんて、言える訳がないじゃないですか、、、!


ていうか、絶対バレてる!!!え!?ナミさんはどうしろというのですか!!!

ダメだ!私には対応しきれないよ、この状況は!帰る!いや、帰らなければ!!!



「あっ、わ、私、モウカエラナイトーーーー」

「ダメ」

そう言って、席をたとうとした私を引っ張って再び座らせるサボくん


ダメって何!?なぜ引き止めるの!羞恥で殺したいのか?え?そうなのか!?


「、、、なぁ、小鳥遊」

「は、はいぃっ!」

「お前には、幼馴染って、いるか?」

「え?あ、はい、います。」

「そいつは男か?」

「え、あ、まぁ、はい。」


突然何を聞くんだろう。確かに幼馴染はいる。2つ下の、元気な麦藁帽子の幼馴染が。


「そいつを男としてみてるか?」

「え?いや、、、、あんまり。」




「俺とコアラはそういう関係。」

「、、、、、へ?」

思わず間抜けな声が出てしまった。



「だから、俺とコアラは幼馴染で、お互い家にも行くし、一緒に帰ったりもする。」


、、、、つまり?


「だから、恋人では断じてない」

「、、、、!!!な、、、」


その事実を理解したと同時に、思わずしゃがみ込んでしまった。


つまり、私は、勝手に自分が失恋したと思って、さんざん泣いて、その上、好きな人にそのことを知られてしまうという醜態を犯してしまったと!?


なんだそれ恥ずかしすぎる!


てか絶対ナミ気づいてた!情報通なナミが知らないなんてありえない!


そう、悶ているとサボくんに肩を捕まれ立たされる

私の顔は涙と羞恥でみっともない顔になっているだろうと、手で顔を隠しながら、サボくんの様子を伺う


きっと、幻滅してるだろうなぁ、、、

そう思って、チラッと指の隙間から除くと、何故か顔を赤らめるサボくんがいた


、、、?なんでサボくんが、、、?



「まぁ、、、だからさ、、、」


顔を赤らめたまま話しだすサボくん


「俺はお前が好きなんだけど、、、お前もそうだって、思ってもいいのか?」


「、、、、え?」  


思わず顔を上げてしまう。バッチリと目が合う


え、俺も、、、?え?え!?

あまりのことに動揺して返答もままならない


「なんだ、、、違うのか、、、?」

シュンとするサボくんに思わず慌てる




「い、いいいいや!違わない!違いません!!!

わっ、私もっ、、、サッ、サボくんが好きです!」




うわぁーーーーー!言ってしまったぁー!

再び羞恥で顔を隠すとニシシとサボくんの笑い声がする



「、、、じゃあ、おれら、今日から恋人な!!!」

「、、、へっ?」

何だ今の夢のような言葉は!?また思わず顔を上げてしまう。

「ニシシ!よろしく」


そう言って手を出すサボくん
あぁ、やばい、にやける。


「、、、っ、、ふ、不束者ですが、よろしくお願いします」

「おう、よろしく頼まれたぞ」


そう言って笑うサボくんはいつにも増して格好良かった。


あぁ、嬉しさで私は死んでしまうのかもしれない


失恋レターのちLOVE


(やぁーーーっと、くっついたわねー)
(ホント、長かったー!)
(フフ、私達の苦労もこれで報われるわねコアラ)
(そうね、ナミ。あーー、もう、サボの『俺は、どうしたらいい?』に付き合わなくていいと思うと嬉しいーーー!)
(私もよ!ねぇ、これからどっか遊びに行きましょうよ!)
(いいわね!それ!)



[ 5/5 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -