絶賛一方通行
ミーンミンミン ミーンミンミンミン
「暑ィ・・・・・・」
いつの間にかセミも鳴き始め、季節はすっかり夏。
そう!夏休みなのでーーす!
フー! テンションあがるわーーーー!!
遊園地でしょ、海でしょ、映画でしょ、もー遊びまくるわーーー!!
・・・・なんて、県内屈指の進学校に入学してしまった私にそんなウフフな夏休みなんて来るはずもなく
夏季講習、講習、講習+αで宿題!!!という毎日追われる日々を送っております。
本当にこれを夏休みといっていいのか!?
夏だぜ!?私だってウフフな夏休みを過ごしたっていいだろ!!!
なのに、なのに、何故、私がこいつと部屋で宿題をして夏休みを過ごさなきゃいけないんだ!
「おい、手ェ止まってんぞ、俺がわざわざ手伝ってやってんだ、そんなもんさっさと終わらせろ。そして俺にかまえ」
「はぁ?ざけんな!こちとら宿題で手一杯だっていうのに!あんたの相手なんかしてられっか!!」
「あぁ?てめぇ、レイのくせに口答えするとはいい度胸だなぁ、クククク、、、」
「ぐっ、な、なによ」
「いやぁ?お前の恥ずかしい写真をどうばら撒いてやろうかと、、、」
そう言って徐ろに取り出したのは、お漏らしをして号泣している写真。
ただし、中学生の時のものだ
「なっ!?、、なんで持ってるの!?」
てかそんな写真いつ撮った!
「さぁーて、どうしようか、、、まぁ、お前がどうしてもというなら、幼馴染として許してやらんこともない」
「ぐっ、、、、ごっ、ゴメンナサイ」
この横暴野郎の名前はトラファルガー・ロー
何を隠そう私の幼馴染だ。幼稚園から小、中、高と腐れ縁甚だしいことこの上ない
いや、こうなるはずでは無かったのだ!
ローが行くと聞いた中学校、高校とは離れた学校を選択したはずなのだが!!!
試験も受けたはずなのだが!
何故か親に連れて行かれたのはローと同じ高校で
入学式ではニヤニヤと笑うこいつと対面することになるのだ。
なぜだ神様!!!
「あぁ、なんて不幸なの私」
「は?何言ってんだ、俺と幼馴染な時点で幸せだろうが。」
「マジ帰れ」
「却下」
「キーーーっ!何なの!ホント何なの!なんで、こうも私に構うの!?いいじゃん、あんたの周りにはあんなに可愛い娘ばかりいるんだから!そっちに構ってもらいなよ!なんで私のとこに来るの!!?」
日頃のイライラも溜まっていて、思わず叫ぶ
そう、いくら性格に難ありでも、顔は良い、背は高い、頭もいい、運動もできる、と性格以外は完璧なこいつの周りにはいつも可愛い娘が必ずいる。
なのになぜ!ザ・平凡な私のところにくるのか!不思議でならないというか、迷惑極まりない
お陰様でロー・ファンの皆様には嫌われてるわ、男子からも何故か恐れられ、アウェー極まりない学校生活を余儀なくされているのだ。
何なんだ!なぜこうもつきまとう!
心の中で再び叫んでいると
いきなりグイッと手を引かれ
そこにはなんとローのドアップ
思わず離れようとするが、腰に回った手がそれを許さない
顔はいいため心臓に悪い、バクバクと鼓動が早まる
何なの!私がなんかしたか!?
「なっ、ちょっと、離し、、、」
「なぁ、、、」
このままでは心臓がもたないので顔を背けながら懇願する。
それなのに私の言葉を遮り、言葉を発するロー
なんだかいつもと違うような気がするのは気のせいだろうか
「、、、、どうしてお前は気づかねぇ」
「、、、、、は?」
いや、一体何に、と顔を上げると、目があう。
少しつらそうな、熱のこもった目に見つめられ、とある結論にいたる。
「あ、なんだ、熱あるの?」
「ーーーーーーは?」
あっけにとられ、思わず腰から手を離すロー
「いや、熱あるんでしょ。確かにちょっと顔赤いしねー。なんだよ、そうなら言ってよ、まどろっこしいなぁ、そーゆーのは気づいてもらうまで我慢するんじゃなくて自分で言いなよ。」
「いや、、、、、」
まったく、仕方のない幼馴染だなぁ、と、熱を図るためにおでこに手をやる
確かにちょっと熱い
普段風邪などひかないのに珍しい。
「あ、冷えピタ取ってくるからそこで待ってて」
とその場を去った。
絶賛一方通行中「はぁ、あいつはいつになったら気づくんだ。」
少し顔を赤くして彼女が触れた額にてをやり、ぼやく彼の苦労が報われる日はまだ遠い
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