「く、ら…やだ、」
「ん、可愛ええ」
やだって言いながら顔を真っ赤にして首をいやいやって振る。そんなんしたって俺を煽るだけやのに、ほんまに可愛いやつやわ。
「自分が言い出したんやろ?」
「そ、だけど…んっ」
「せやったら責任とりや」
手作りのチョコが失敗してできんかったから「かわりにわたしで!」と自信満々に言ってきたときは驚いた。けど、こんなチャンス逃すわけにはいかんやろ?ということで現在に至るわけで。
俺の足の間にいる彼女の耳にふっと息をかけると、そこが弱い彼女はびくっと肩を揺らしはぁ、と艶っぽい声を洩らす。
「ほんまここ、弱いんやな」
「んやっ、耳元でしゃべんないでっ」
耳の中に舌を侵入させると、彼女はくぐもった声で我慢しているところを見ると余計に興奮する。もっと鳴かしてみたい、と俺の本能が掻き立てられるのだ。
「もっと声出してええんやで?」
「…やぁ、だ」
「やだ、やないやろ?」
「んっふ、ぅ」
せめてこれだけでも…と彼女が持ってきた市販のチョコの詰め合わせから一粒だけつまんで、「ほら、これ。口移しで食べさせて?」て言うと、「…やだ」と少しだけ拗ねた返事が返ってきた。
「…チョコ、より」
「ん?」
「…わたし、を、食べてるんでしょ…?」
「!」
あかん。なんて可愛い生き物や。ちゅ、ちゅ、と啄むようにキスをすると、とろんとしたどこか期待をはらんだような目に捕まって目が離せない。ああ、もう本当に止まらない。
(す、き…くらぁ)
(…っ、…可愛ええなあほんま)
110220
ピンクのレースに溺れる