ふわふわ、宙に浮いてく気がしたの。どうしたんだろう、いつもの私じゃない。いったいいつものしっかり者の私は何処へ行ったの?


「あっあの!」
「何?」
「数学のっ、数学のプリント出して」
「ああ。ありがとう」


こんな会話で精一杯。なんて、ほんと私らしくない。私はクラスの委員長で、彼はただのクラスメートで、それだけのはずだったのに、いつの間にか風丸くんとは目も合わせられない、上手く喋れない。1日に1回話すかどうかも怪しいところ。



放課後、誰もいなくなった教室でクラスの仕事を終わらす。さっきのことを考えてみてもやっぱり理由なんてこれっぽっちも見つからなくて。もう風丸くんも部活終わったかなぁなんて考えてなんとなく校庭を窓から覗いてみた。…私、また風丸くんのこと考えてる…


「…はあ…」


ため息をひとつつくと「どうしたんだい?ため息なんてついてさ」と声がして、聞き覚えのある柔らかな声に振り向くと風丸くんが、いた。


「ど、うしてここに?」
「え?ああ、忘れ物を取りに」
「そ、そう…」


ああもうやだ。やっぱり風丸くんといるといつもの私になれない。どうしてこうなんだろう。


「「あの」」

「!あ、風丸くんからどうぞ…」
「いや、委員長から」


ふたりで顔を見合わしてふふって笑った。…今なら、言えるかもしれない。


「あ、あのね、私…」
「うん?」
「風丸くん見ると上手く喋れなくて、噛んじゃったり、目も合わせられないし、いつも風丸くんのこと考えちゃうの」
「……」
「…おかしいのかな?」


風丸くんは、もう見るだけで心臓バクバクな私をよそに、笑い出した。
なんでなんで?な私に「腹いたい」と言いながら随分と笑ってる風丸くん。


「それってさ」
「うん?」
「俺のこと好き、ってことだろ?」


だって俺も同じだから、ってくつくつ笑う風丸くんに抱きしめられたのは数秒後。



110211 君と惑星


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