「くらぁー…」
「どしたん?」
「っ〜もうやだっ!」
今日は蔵のおうちで来週のテストに向けてのお勉強会。馬鹿なわたしは彼氏でしかもかなり賢い蔵に教えてもらう(というかもう強制的すぎて怖い)という手段に至ったのである。
「ほら、あと少しや。頑張り」
「…くすん、だってもう頭にはいんない」
「だってやあらへん。赤点とったら部活行けんのやで?そしたら…」
「蔵に会えない」
「そうや、やから、ほら」
ほら、と言って勉強するように促されるけど正直もう頭いっぱい。わたしだってそりゃあマネージャー兼蔵を間近でみれるという特権つきの部活には行きたい。すごく行きたい。だけど、もとからの頭の出来というものを考えてほしいものである。馬鹿なのはどうやったって馬鹿なの仕方ないじゃんか。
「…そうやなぁ」
「?」
いきなりうーんと言って考えだした蔵。考えてる姿も様になっててかっこいいってゆうか蔵ならなんでもかっこいい、なんて思うわたしはもう末期かもしれない。
「…ご褒美あげるってのはどや?」
「…ごほうび…?何くれるの!」
「くくっ、えらい食い付いたなぁ」
「で!何くれるの?」
「キス」
「……は、」
「一問につき正解したらキス一回、どや?」
「へ、へへへんたい!!」
101010