「ねえ、岳人」
「……」
「ねえってば!」
「…なんだよ」
「…やっぱり、なんか怒ってる」
「…怒ってねーよ」
「見るからに不機嫌じゃん」
なんて目の前の彼女は口を尖らせているが、そりゃあ機嫌も悪くなるってもんだ。つーかお前俺のこと好きなんじゃねーの?いや、付き合ってはないけどどう考えたって好き好きオーラ出してるだろ。好きな奴の誕生日ぐらい覚えろよな!
くそくそ!なんで俺がこんなこと考えなきゃいけねーんだ。そもそもなんでこんな苛ついてんだ、俺。
「…がっくんー?」
「………」
「うー、なんか喋りかけられたくなさそうだから、もう行くね」
「っ…待てよ!」
「へ…?」
俺は無意識のうちに、去っていこうとする彼女の腕を引いた。
「昨日なんの日だったか知ってんのか?」
「……ごみの日…?」
「ちげーだろ!」
「えーじゃあ何の日なの?」
「………誕生日」
「え?」
「俺の誕生日!」
そういうと、あっ!て声を上げて、ごめんと誤る彼女。やっぱり忘れてたのかよ。つかこいつに誕生日忘れられたぐらいで苛ついたりショック受けたり、何なんだよ俺。
「えっと、1日遅れだけど、お誕生日おめでとう、岳人」
「お、おう、さんきゅー」
笑顔で言われた瞬間、心臓がどきってした。おいおいまじか。
俺、こいつのこと好きだったんだ。
好きと気づいた日
(ついでに俺の彼女にならねえ?)(え!)
100918
向日生誕祝