うららかな日差しが当たる午後の一番後ろの窓際の席。古典の先生の声を子守歌のように聞きながら眠りにつこうとしていた、そのとき。
「ねぇ、」
「…わたし?」
「君以外に誰がいるんだい?」
「…なんのようですか、幸村くん」
隣の席の彼、幸村くんに声をかけられるときはろくなことがない。なんたってあんな爽やか王子様みたいな顔して俺様腹黒魔王なんだもの。ああ、冷や汗が流れてきた。
「あの、わたし眠いんですけど、」
「お前が眠いかどうかなんて聞いてないけど」
「……」
「それより、暇だからなんか面白いことしなよ」
「は、」
またこの男は訳の分からないことを言い出したものだ。暇だからって、て今授業中なんだけどなって言ったら、お前も寝ようとしてただろって。確かにそうだけど、あ、やばい。目が閉じそう…ほんと、眠い。
「…幸村くん、ごめんなさい眠いので寝かしてください」
「うーん、そうだな…俺の言うこと聞いてくれたら寝かしてあげるよ」
「…ああ、もう、それでいいです。んで、何すればいいの?」「ちょっと消しゴムをこっちの方に落としてみて」
幸村くんが一体全体何をしたいのかよく分からなかったけど、取りあえず言われた通りに幸村くんの方に消しゴムを転がして落とした。
「落としたよ?で?」
「拾って」
「うん?」
もう訳わかんないこの人。消しゴムをワザと落とさせて拾わせる、なんて意味の分からないことをさせるのだろうか。
「で、その体制で止まって」
「へ、」
なぜか消しゴムを掴んで体を起きあがらせようとしていたときに動きを制止させられた。
「いったいなん……っ!」
「…顔、真っ赤」
なんてクスクス笑うこの男に、キス、された。
無意識のゼロセンチ
(眠さなんてふきとびました!)
100802
title:確かに恋だった