それは俺にとって突然の出来事だった。なんの前ぶれもなく。俺はただ目の前の先輩を呆然と見ていた。
「先輩…その髪…、」
「ああこれ?暑いからきっちゃった」
似合う?なんて困ったように笑う。ああくそっ、なんでそんな顔するんだ。先輩がたんに暑いから綺麗だった長い髪をきった訳じゃないことぐらい分かっていた。俺は先輩がずっと好きだった。だけど先輩には彼氏がいて、先週すれ違いが理由とかで別れたらしい。
「あーあ、ほんとに好きだったんだけどなぁ…」
悲しそうに笑う先輩、を抱きしめたくなった。
「…先輩、」
「ん?なぁに?」
「ちょっと耳かしてください」
"好きです、先輩"
涙のラプソディー
(その恋はもうすぐそこに)
100704