「ひっく…ぅ」
「…まだ泣いてるの」
「だっだって…ひっく」


だってこのドラマすっごく感動的なんだよって説明したら馬鹿じゃないの、て返事が返ってきた。涙もろい私はいつも感動して泣いてしまう。しかもなかなか泣きやめないという曲者。どうせドラマなんて作り物でしょって言うのがセイロンの口癖になっていた。でも、だからって、これは泣かずにはいられない。


「…しょうがないなぁ」
「…?」


寝っ転がってドラマを一緒に見ていたセイロンがよいしょって起き上がってソファに座ってる私の方に来た。て、ゆうか寝っ転がってテレビ見るとかどこの親父!なんて思ってるとギシッて音がして上を見上げるとセイロンの顔。え、何、どういうこと。


「しょうがないから、泣き止ましてあげるよ」
「へ、」
「…だから涙止めてあげるって言ってるの。」
「え、だから何で上乗って…」
「…分かんない?キミって馬鹿?まあ、いいけど」


馬鹿って!女の子に馬鹿って!反抗しようと思って口を開いたらそこにキスされた。ちゅ、ちゅって可愛いキスから段々深いものに変わっていった。酸素が足りなくなってセイロンの胸板を押してみるけど、びくとも動かない。やっぱりこんな女の子のような顔でも男の子なんだと思わされる。

唇をやっと離されて酸素をたくさん送り込む。


「はぁ…はぁ」
「ね、涙止まったでしょ」
「し、死ぬかと思った…はぁ」


何こいつ!何でこんなに余裕なの!しかもまた覆い被さってきてるし、え、また?


「約束通り涙止めてあげたからご褒美くれるよね?」
「は、何言って…んっ」




姫君と涙と王子




100705


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