朝、HRが終わるとヒビキからメールがきていた。 『愛しの先輩へ おはようございます(^∇^)/ 本当だったら今頃先輩の隣にいれたはずなんですけど、俺の身体は病原菌に侵略されました 死ぬ気で学校にも行けますが、ヘタに先輩に風邪をうつしたくないのでやめときます 先輩だいすき おわり』 「ヒビキが風邪…?」 開いたメールを閉じて、しばし考える。30秒程考えて、私は慌てて席を立った。 × 中学の頃、私が熱を出すと、決まってヒビキとレッドとグリーンが家までやってきた。お母さんもお父さんも仕事で、家に一人だけの私が寂しくないようにって、三人は私が眠るまでずっと傍にいてくれた。あの時の安心感を、ヒビキに少しだけでもあげることが出来るかも。そう考えたらいてもたってもいられなくなってしまった。 「…どうしよう」 ヒビキの玄関の前で頭を抱える。完全に無計画で来たけど、これからどうすればいいのか。うーんと唸っていれば、ふいにドアが開いた。 「うわあ!」 「先輩!なにしてるんですか」 「なにって…お見舞い」 「もう、だめですよ…。風邪うつっちゃうでしょ」 「…だって。心配だったし…」 私がボソリと言うと、ヒビキは小さくため息をついて私の手を握った。そしていつもより少しだけ弱々しく、笑いながら言った。 「先輩の顔見たら、ちょっとだけ元気になれました。でもまだ少しだけ怠いんで、ちょっとだけ一緒にいてくれますか?」 「…!うん」 はじけるように返事をする私の頭を、ヒビキは目を細めながら撫でた。いつもと逆な光景に、思わずきゅんとしたのは、ヒビキには秘密。 |