「なまえ見て!」 「わ、それどうしたの」 「朝起きたら生えてた!」 オタチの可愛らしい耳を生やして、少しだけ誇らしげに笑うヒビキを見て、顔が思わずにやける。 「なまえ」 そう名前を呼びながら、耳を揺らしてオタチみたいにきゅるるん、と私を見つめるヒビキが可愛くてしかたない。可愛いヒビキに可愛い耳を生やすなんて、神様グッジョブ! 「なまえにも生えたら良かったのに」 「私はいいよ、似合わないし」 「そんなことない!」 「絶対可愛い!」とにっこり笑いながら言ったヒビキに、私は頬を染める。可愛いヒビキに可愛いって言われるなんて、それだけで可愛くなれる気がするから不思議だ。 「ヒビキの方が可愛いよ」 そう言えば、ヒビキは少しだけ不満そうに耳をピンと立てて言った。 「可愛いって言われても、あんまり嬉しくない。なまえにだけはかっこいいって思われたいし…」 俯きがちにそう言ったヒビキにキュンとする。なにを言ったって、言われたって、結局どうしたってヒビキは可愛い。いっそうらやましいくらいだ。 「でも私はそんなヒビキが好きだよ」 にっこり笑って言えば、ヒビキは驚いた顔のあと、「僕もだよ」と言って笑った。 「というわけで、その耳触らせてください」 「いーよ。でも、なまえだけ特別だからね」 |