ゆめ | ナノ



「じゃあはじめるぜッ!第1回肝試したいかあああああい!!」



司会のポッド君が叫ぶのと同時に、クラスのみんながわああ!と盛り上がる。そんな光景を遠巻きに見て、私は大きなため息をついた。



「…帰りたい」



そんな私を見て、トウコとベルは顔を見合わせて、苦笑いをした。



「ルールを説明するぜ!まずくじ引きで2人ペアになってもらう!んで、指定されたコースをぐるーっとまわって、途中にある神社に名前を書いた紙を置いていく。それだけだ!なにか質問はあるか?ないな!よし!じゃあ肝試し大会の始まりだぜッ!!」



ポッド君のテキトーな説明が終わり、みんなくじをひきにいく。私のひいたくじの番号は8番だった。みんな各々、同じ番号をひいた人とペアを組んでいく。トウコはデント君と。ベルはチェレン君と。そして私は、



「ポッド君。私…」
「ん?ああ!トウヤがいないから一人余るんだった!ってわけで、みょうじは一人で回ってくれー!あ!ちなみに誰かのグループに混ぜてもらうのは禁止だからなッ!」
「なっ!?」



驚きで口をパクパクする私にそれじゃあなー!と笑顔で言って去っていくポッド君。引き止めようて伸ばした手だけがただただ虚しい。



「トウヤ君のばかやろう」



一人呟いた言葉が、今はいない彼に届くわけもない。




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