「あっ!もうこんな時間…」 「ああ本当だね」 時計を見れば、ここに来てからすでに3時間が経っていた。お茶もおいしいし、マツバさんとも意気投合し、居心地がよすぎて気付かなかった。荷物を片付けないといけないし、アパートの人たちに挨拶にも回らないといけない。 「じゃあ、そろそろおいとましますね」 「楽しかったよ。また遊びにおいで」 「ありがとうございます。じゃ、お邪魔しましたー」 玄関まで見送りに来てくれたマツバさんに御礼を言ってから、私はドアを開けた。 「え?」 「…誰?」 ドアを開ければ、目の前に赤いチェックのシャツを着た男の人が首を傾げながら立っていた。 「おや、レッドくん」 「え?」 「…マツバ。これなに?」 マツバさんがレッドくんと呼んだその人は、私を指差すとそう問い掛けた。 ていうか質問が些かおかしい気がするのですが。 「これっていうか、彼女はなまえちゃん。新しい住人さんだよ」 「よ、よろしくお願いします!」 「…ん。よろしく」 言いながら頭を下げると、レッドさん?は少し笑ってよろしくと言った。 「…どうしたの?」 「いや、なんだか後光が射した気がして眩しくて」 あまりのレッドさんの綺麗さに目を細めれば、これまた首を傾げて聞いてくる。 ていうか首を傾げる仕種すら可愛らしすぎるんですが。マツバさんといいレッドさんといい、ここは何?イケメンパラダイス? 「なまえちゃん面白いこと言うね」 「え!私口に出てました?!」 「いや、ごめん。勝手に視ちゃった」 視るってなにをどうやって?とは怖くて聞けなかった。仕方なく私はレッドさんの方へと視線をうつす。 「…なに?」 「〜っ!なんでもないです!」 もうなんか美形すぎて直視するのが躊躇われる! 「ちなみにこのアパート、僕を含め全員美形だからね」 「な!まじですか!!」 マツバさんの言葉にこれからの生活が心配でたまらなくなった。 106のレッドくん 「えーと、とりあえずこれからよろしくお願いしますね、レッドさん」 「…よろしく。あと敬語いらない。それとレッドでいい」 「え?あ、うん。…よろしく、お願いします…?」 |