ゆめ | ナノ



中央都市とは少しずれた場所にあるアパート『フシギ荘』。外観はあまりよくはないけど、家賃も場所柄を考えたら安いし、バス・トイレ付きだし、良い物件だと思い、すぐに入居を決めた。今日はその入居日なわけで、現在そのアパートの前にいるわけなのだけれど、なんていうか、



「しくじった」



ボソッと呟き、ため息をつく。写真だけ見て、即決したのがいけなかったのか、アパートは写真で見る何倍もボロそうだった。ボロイっていうか、今にもお化けが出そうな感じ。ぶっちゃけ入りたくないし、今すぐ実家に帰りたい。でも戻ることなんて出来ないのだ。



「行きます、か」



私はもう一つため息をつくと、荷物を持ち直して、アパートの入り口をくぐった。





×





「ごめんくださーい」



管理人さんが住むという101号室のドアをたたき、声を掛ける。アパートの中は外よりは綺麗だったけど、薄暗い感じとか、静かな感じとかがとても怖い。早く出てきてくれ!という気持ちを込めて、再びドアをたたこうとドアに一歩近寄れば、急にドアがガチャリと開いて、私はドアに思い切り顔をぶつけた。



「はーい。ってあれ?君、大丈夫?」
「大丈夫じゃないです、よ」



痛みで顔をおさえれば、目の前に眩しいほどの金色がうつる。気付けば管理人さんの顔が近くにあって、私は思わず後ずさった。



「赤くなっちゃってるね。おいで、冷やした方がいい。それにお詫びにお茶でもいれるよ」



にこりと笑いながら私の手首を掴んでそう言った管理人さんの有無を言わさぬ笑顔に、私はただただ頷いた。



管理人のマツバさん



「僕のことは、管理人さんじゃなくてマツバって呼んでね」
「はあ…。マツバさんですね。あ!私名前言ってない…」
「ん?なまえちゃんだよね。君の後ろの人が教えて…。ああごめん。なんでもない。今のは忘れて」
「いや、忘れられませんよ!後ろの人って誰!?」



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