トウヤ君が熱を出しました。 ふらふらな足どりのトウヤ君を支え、ベッドへ寝かせると、私はそのことを先生に報告し、何事もなかったかのように、生徒たちの群れに戻った。ふと、トウコが心配そうにこちらを見ているのに気付いて、私は笑顔で手を振った。 「なまえ!トウヤ、大丈夫だった?」 「トウコ、大丈夫だよ。トウヤ君なら熱だして部屋で寝てる」 「それならいいんだけど…トウヤ、朝から体調悪そうだったのよ。休んだら?って聞いても、絶対行くってきかなくて…」 あのトウヤ君が?!と言いそうになるのを必死で堪えた。トウヤ君が駄々をこねて行くって言ってる姿とか、想像出来ない。 「…のためとはいえ、やっぱり休ませるべきだったわね…」 「どうしたの、トウコ?」 「え、ああ!なんでもないのよ」 トウコの言葉の最初が聞き取れなくて聞き返すけど、トウコは両手を振ってなんでもない!と言うだけだった。 「夕食のあとはナイトハイキングだからなー。飯食い終わったらホテルのロビーに集合しろよー」 グリーン先生の言葉に、みんなが素直に頷き、バイキング形式の夕食を食べはじめた。 「ナイトハイキングかー」 「海辺の散歩らしいわよ」 「へー楽しみ!」 夜の海とか綺麗なんだろうなー。なんてことをぼんやり考えながら、プチトマトを口に運び、ふと気付いたことを聞いてみる。 「そういえばさっきどこに行ってたの?」 「ベルのところよ」 「ベルちゃんかー」 なんかふわふわしてて可愛いんだよなー、あの子。出来ることなら私も仲良くなりたい。でも私、人見知りだしな…。 「だってさ、ベル」 「わあ!ほんとう?」 「え」 突然後ろから聞こえた声にびっくりして振り返ると、嬉しそうに笑うベルちゃんがいた。 「あたしもなまえちゃんと友達になりたいなあ。だからこれから仲良くしてくれる?」 「ももも!もちろん!よろしくね、ベルちゃん!」 にっこり笑ったベルちゃんにくらり。 可愛すぎるこの子!! そんなこんなで、可愛い可愛いお友達が出来ました。 |