一通り本日まわる予定の場所をまわり終え、今夜泊まるホテルについたので、私とトウコは一緒に部屋へと向かった。重たい旅行バックをベッドに投げ捨てて、窓の外を見る。空にはすでに大きな夕日が浮かんでいて、海にキラキラと反射していた。 今年の交流旅行のホテルは、例年使用しているホテルがすでに満室だったため、たまたま空いていた高級ホテルに泊まることになっていた。全力で例年使用しているホテルに感謝だ。 「海だ!トウコ、海だよ!」 綺麗な海を指さしながら、トウコを呼べば、トウコはすでに部屋にいなかった。代わりにいたのはトウコの双子の弟君。 「トウコなら俺が来てすぐ1階に行ったけど?」 「ト…トウヤ君…っ!」 壁に寄り掛かりながら腕を組んでこちらを見るトウヤ君に驚きの声をあげる。 っていうかなんで来たのこの人。 「部屋にいたら眼鏡がうるさいんだよ。荷物片付けろとか、靴は揃えろとか」 「…そうですか」 「つーわけで、しばらく邪魔するぜ」 トウヤ君は当たり前であるかのように部屋に入ってくると、私の荷物を床に落とすと、ベッドに仰向けに寝転がった。そんな様子を見てため息をはくと、私はトウコのベッドに座ってケータイをいじりだした。 「おい」 「はい!」 しん、と静まり返った空間に、トウヤ君の声が響く。私は反射的に返事をすると、顔を上げてトウヤ君を見る。彼はこちらを見ずに無言で手招きをしていた。 こっちへこい、ってことですか…。 私はしぶしぶ立ち上がると、トウヤ君の寝るベッドサイドへ向かった。 「なに?」 「のどかわいた。なんか買ってこい」 「なんで私が…」 「早くしろ下僕このやろー」 スパン!と頭を叩かれ、早く行けと促される。こうなっては仕方ない。私は財布を持ってしぶしぶ部屋を出た。 それはそうと、 「なんかおかしい」 いつもとトウヤ君の態度が違う気がする。なんだか力ないっていうか…。一体どうしちゃったんだろう? 私は首を傾げながらも、トウヤ君のお気に入りの缶コーヒーを買って部屋へと戻った。 |