ゆめ | ナノ



あれから何事もなく、1時間目の授業が終わった頃教室に戻った私は、それから学校が終わるまで、女子からの冷たい視線を感じながら過ごした。小さくなってびくびくする私を、トウヤ君は、たまにとてもとても楽しそうに、ニヤニヤしながら見ていた。


「なまえー大丈夫?なんか1日ですっごいやつれてるんだけど」
「ああ、トウコ。大丈夫だよ。ちょっと疲れただけ」
「それならいいけど…」


放課後、机の上でのびていると、トウコが心配そうに私に話し掛けてきた。心配してくれるトウコまじ天使!なんて思いながらトウコの細い腰に抱き着く。優しく頭を撫でてもらって、疲れもなんだか吹っ飛んだ気がする。


「トウコ大好き」
「私もなまえが大好きよ!」


そう言って優しく笑うトウコにでれでれ。どうしてこの子こんなに可愛いんだろう。こんな可愛い子がトウヤ君と双子だなんて…考えられない。


「みょうじさん」
「!」


背後から聞こえる爽やかな声に、思わず肩がびくりと跳ねる。

なぜだろう。嫌な予感しかしない。

恐る恐る振り返れば、きらきらとした笑顔のトウヤ君。その表情が恐ろしいったらありゃしない。


「みょうじさん、一緒に帰ろう」


にっこりとした笑顔で言っているが、その言葉には妙な威圧感がある。断ったらきっと、ひどいめにあう気がする。私は黙って頷き、しぶしぶトウコから離れた。


「トウコ、私生きて帰ってくるから…そしたら結婚して」
「なまえ、どうしたのよ急に」
「みょうじさん」


にっこり笑顔で私の名前を呼ぶトウヤ君に従い、トウコに挨拶をして教室を出た。その刹那。


「お前バカなこと言ったら犯すからな」


とうとう私の貞操が危うい気がします。



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