トウヤくんに手を繋がれたまま教室までの道を歩く。必死にその手を離そうと試みるが、全く離れる気配がない。 やめてください。離してください。さっきから女子たちの視線が痛いんです。突き刺さりそうなんです。おい、まじで離せお前。聞いてんのかおい。 「なにか言った?」 「言ってません」 にっこり笑ったトウヤ君に思わず即答する。 トウヤ君はもしかしたらエスパーなのかもしれない。私の考えてること読んでるし。 はあ、とため息をつけば、手を繋いでいない方の手で頬を抓られた。 「御主人様の前でため息をつくってどういうこと?」 「ごめんなさいごめんなさいまじでごめんなさい!」 ぐずぐずと泣きそうになりながらも、トウヤくんに引きずられるように、教室に入った。 えっ、やだちょっと待って…。 瞬間、不自然なぐらいにざわついていた教室が静まる。そして3秒後、教室中が女子たちの悲鳴でわいた。その様子を楽しそうに見ていたトウヤくんが口を開く。 「みんな聞いて」 騒いでいた女子たちが一瞬にして静かになる。対する私は嫌な予感しかしない。 「僕たち…付き合うことになったから」 ニコッと笑って私の肩を抱いたトウヤくんに教室中の女子が絶叫した。 どうやらこの人、とことんやるらしい。私そのうち死ぬかもしれません。 |