ゆめ | ナノ



怖い。なにが怖いかって前を歩くトウヤ君が怖い。さっきから捕まれている腕がミシミシいってます。痛い!痛いですトウヤ君!


「痛くしてるんだから当たり前だろ」
「やっぱりか!
ていうか、あれ?私声に出してないよね?なんで?」


その言葉を軽やかに無視して、トウヤ君は自然な仕草で私の横にくると、掴んでいた手を離して、私の手をとって…。

手を握った…だと?


「ななななな、なにしてんの!」


慌てて手を振り放そうとするけれど、それはかなわず、にこやかなトウヤ君に制される。普通の女の子なら頬を染める優しい笑みだが、私には恐怖でしかない。トウヤ君はその笑顔をくずさぬまま声をひそめて言った。


「いちいちビクビクしやがって、うぜえんだよ。周りの奴らが見てんだろ?俺に変な被害が被ったらどうする。お前は黙ってはい、だけ言ってればいいんだよ、バカ。さもなくば犯す」
「…は、はい」
「それと、昨日はよくもやってくれたな。覚えてろよ」


こちらを優しい笑顔で見ながらそう言ったトウヤ君に、心の中では絶叫し、私は目に涙を浮かべてぽつりと言った。


「…はい」


なんかもう泣きそうです。





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