会いたくない人には、嫌でも会ってしまうものである。 「みょうじ」 「レレレレッド先生!ヒイイイイイ!!」 自転車置き場に自転車を置き、昇降口に向かえば、待ってましたと言わんばかりにレッド先生が笑顔で現れた。慌てて逃げだそうとすれば、がっしりと襟首を捕まれて、一瞬だけど身体が宙に浮いた。 「ぐえっ!首締まってます!」 「ふーん」 必死に抵抗するけど、先生の手の力は全く緩められない。 その細腕にどれだけの力を持ってるんだ!いちいちかっこよすぎます、先生!じゃなくて、 「は、離してください!」 「やだ」 私の必死の叫びも一蹴され、なにも出来なくなってしまった。レッド先生は襟首を掴んだまま、私を自分の方へ向ける。 昨日から私、ろくな目にあってない。 「昨日なんで帰った」 「な、なんでって…」 「知ってる?みょうじ。お前が自分勝手な行動をとることで、俺が校長に怒られ、俺に迷惑がかかるんだよ」 レッド先生に怒れる人間なんてこの世にグリーン先生しかいないだろ! そんなつっこみを飲み込んで、ただただ謝り続ける。もうすでにこの体制になってから5分くらい経ってるんじゃないかな?いい加減、本格的に苦しい。 「れっどせんせぇ、はなしてくださいいぃ…」 「は?」 「ごめんなさい」 本気で苦しいです。このままじゃここで死ぬかもしれない。そうしたら一生先生のことうらんでやるんだから!それとこんな状況になるような原因を作ったトウヤ君もうらんでやる!! 心の中でそう誓えば、レッド先生が私の顔を見て一言。 「まだ元気そうだね」 ニヤリ、笑ったレッド先生に鳥肌が立った。 本気で私死ぬかも…。 そんなことを覚悟し始めたころ、横から現れた手が、先生の手を掴んだ。びっくりしてそちらを見れば、笑顔を浮かべたトウヤ君の姿。 「おはようございます、先生」 にっこりと笑いながらそう言うトウヤ君のあまりの恐ろしさに、身体がビクッ!とはねた。レッド先生は相変わらずの無表情。 「この手、離してもらえますか?」 にっこりとそう言ったトウヤ君に、レッド先生の手の力が緩まる。それを認めて、トウヤ君は私の手を引いて歩きだした。 |