ゆめ | ナノ



不機嫌そうに顔を歪め、イライラと私を見るトウヤ君の姿に、恐怖で足が震える。捕まれた腕が痛い。


「見たんだな?」


ゆっくりとそう聞いてくるトウヤ君に、ゆっくりと頷く。


「なっ、なんで、あの先生と…」


震える声でそう問えば、ただ一言、「誘われたから」と言った。

それって犯罪じゃないの…。


「おい」
「は、はい?」
「お前のせいで中断になったんだけど」


そう言ってトウヤ君は私の両手首を掴むとぐっと顔を寄せてきた。息のかかる距離にトウヤ君の整った顔がある。その状況で、トウヤ君は一言、今までみたことのないような真っ黒い笑みを浮かべて言った。


「責任とってくれるよね?」
「…えっ、んんっ!」


言った直後、トウヤ君は私の唇に自分の唇を重ねてきた。いきなりの口づけに思わず目を見開く。


「ん、んー」
「…うるさいよ」


伏し目がちな瞳で私を見つめてまた唇を重ねてくる。いやだいやだと首を振れば、突然唇を割って、ぬるりとしたものが口の中に入ってきた。

し、舌?!

突然入ってきた舌に乱暴に口内を荒らされ、抵抗したいのに身体に力が入らなくなる。震える足に立っていられなくなり、目の前に立つトウヤ君にもたれかかる。そんな私を見て、トウヤ君は楽しそうに笑うと、耳たぶを甘噛みしたあと言った。


「もうギブ?」


楽しそうに言ったあとすぐに首筋を舐めあげられ、私の口からは聞いたこともないような甘い声だけが出る。そんな私を見下すように眺めて、トウヤ君はまた唇を重ねてきた。

息が出来ない、恥ずかしい、抵抗出来ないのが悔しい。

私が頭の中でもんもんと考えている間に、口内は荒らされ、一つ一つボタンは外されていく。

やだ、こわい、やめて。やめて。


「…っ!」
「…痛」


私は口の中を荒らしていたトウヤ君の舌を思いっきり噛んだ。がりっという音とともに、口内に広がる鉄の味。一瞬怯んだ彼を見て、私はすかさず距離をとった。


「痛いんだけど」


切れてしまった舌から流れて、口の端についた血を親指で拭いながらトウヤ君は言った。その姿に背筋が寒くなる。


「抵抗、するんだね。面白い」


そうしてニヤリと笑ったトウヤ君に、私は一歩後ずさった。そんな私に気付き、ふわりと笑ったかと思うと、一瞬で傍に寄って、腕をがしりと掴んだ。


「…やっ」
「へぇ…この俺を嫌がるんだ。本当に面白い、お前。なんか興味が湧いてきた…」
「なっ…」


そしてトウヤ君は誰もがゾッとするような、この場に似合わぬ綺麗すぎる笑顔で言った。


「お前、今日から俺の下僕な。ちなみに、拒否したり逃げたりしたら、犯すから」


そんなのってない。



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