ゆめ | ナノ



※新婚設定





朝起きて仕事の用意をして、布団で伸びているヒビキの元へと向かう。



「ヒビキ、私仕事行ってくるからね。ちゃんと大人しく寝てるんだよ」
「ううー。なまえさんを一人で送り出すなんて、心配で仕方ないですよー。だから行かないで!ね?」
「寂しいのは分かったから、ちゃんと寝てて。今日は早く帰ってくるから。ね?」



昨日から風邪をひいて寝込んでいるヒビキは、なにかあるごとに寂しい寂しい傍にいて、という目で見てくる。でも当然のように無理なので、私がそう促すように言えば、ヒビキは唸りながら顔をポスンと枕に沈めた。



「そんな風に可愛く言われたんじゃ、大人しく寝てるしかないじゃないですか…」



ボソリとそう言ったヒビキの布団に乗っかり、ぽんぽんと頭を撫でる。



「なまえさん」
「ん?」
「ちょっと充電させてください」



ヒビキはそう言ったあとすぐに私の腕をぐっとひくと、ぎゅっと抱きしめてきた。驚いて固まる私を見てにんまりと笑うと、あろうことか、ヒビキは私のボタンを外しだした。



「害虫避けにどーぞ」
「えっ…ヒビ、キ…あっ」
「その反応、可愛いです」



ちゅう、と吸われて、胸元と首筋につけられた赤い痕。それに思わず赤面して、ヒビキの頭をひっぱたいた。



「いってー!なにするんですかー!」
「うる、さい!見えたらどーするの!!」
「俺のものだって証明されていーんじゃないですか?…て、いってー!二回も叩かなくてもいーじゃないですかー!!」



ぎゃあぎゃあ騒ぐヒビキを無視して、私は立ち上がり部屋を出た。



「そんなことしなくても私はヒビキのものよ、バカ…っ」



そうぼそっと呟いてから、乱れた胸元を直して、私はそそくさと会社へと向かった。



モーニングキッス



赤くなった頬の熱はまだまだ冷めそうにない。



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