ゆめ | ナノ



私の学校には超有名なイケメンが5人いる。

一人目が、少し電波で中二くさいけど、優しい瞳と、母性本能をくすぐられる純粋さがたまらないN先輩。

二人目は、つんつん眼鏡の優等生。拭いきれないツンデレ臭がはんぱないチェレン君。

そして三人目、茶色いくせ毛にくりっとした瞳。見た目は女の子みたいなのに真面目な顔はかっこいい。しかも成績優秀、運動神経抜群なスペシャルボーイ、トウヤ君。

この学校の女子の人気はこの3人と、イケメン教師のレッド先生とグリーン先生を合わせた5人で分かれている。その中でもトウヤ君とレッド先生の人気は異常なまでで、一度ファンクラブ同士の抗争が起こったほどだ。(そのときはトウヤ君の一言と、レッド先生の無表情で難無く治まった)ゆえに見えない掟で、この5人との交流は原則禁止なのだ。

それなのに、なんだ、この状況は…?



「聞いてるの?」



今の状況を簡単に説明しようじゃないか。学校一番人気のトウヤ君に壁に押し付けられています。彼のワイシャツのボタンは上から3つまで開いていて、ネクタイも結んでない状態。

なんなんだ一体。なにがどうした。どうしてこうなった。

とりあえず、疑問を表す言葉ばかりが頭に浮かんでくる。真剣に状況が理解出来ない。



「おい!聞いてんのかって聞いてんだけど?」
「はっはい!」



いきなり声を荒げられ、思わず返事をする。たしか彼はいつも素敵な笑顔で、きらきら王子様で、こんな怖い表情なんて浮かべていなかった。

なのに、なんでこんなことに…。胸倉捕まれて泣きそうだし。私はただ見てしまっただけなのに…。





×





私は担任である超絶美人なレッド先生に頼まれ、資料室まで荷物を運んでいた。あまりの荷物の多さに途中色んな人に、憐れむような目で見られたが、他でもないレッド先生の頼みだから仕方ない。だって私はレッド先生が大好きだから!

ルンルンと軽い(だけど実際は重い)足どりで資料室へと向かっていると、すぐ近くの英語教官室から小さな、漏れるような声が聞こえてくるのに気がついた。好奇心旺盛な私は思わず英語教官室の窓を覗いてしまった。

なん…だこれ。

覗いた先には服をはだけさせ、抱き合う男女。見覚えのあるピンクのスーツ。あれはおそらく英語の女教師だろう。そしてもう一人は…



「あ、」



見つめていると、その男の子がこちらに振り返り、バッチリ目が合ってしまった。見覚えのある制服。茶色いくせ毛。くりくりの瞳。その人物が誰なのかと悟った瞬間、私はその場から一目散に逃げ出した。

あの人物は間違いなく、学校人気ベスト5に入るイケメン。トウヤ君だ…!

偶然とはいえとんでもないところを見てしまった。荒い息をととのえて、資料室のドアを開いた。

大丈夫だ。もしかしたら目が合ったのも私の勘違いかもしれない。そうだ。そうに違いない。

と安心していたのもつかの間。

――ドンッ



「へっ?」



思わず気の抜けた声を出す。それもそのはず、突然腕をひかれ、壁に身体を押し付けられたからだ。びっくりして顔を上げると、無表情でトウヤ君が立っていた。



「ト、トウヤ君…」
「見た、よね?」



不自然に笑うトウヤ君に、冷や汗が流れた。

そして話は冒頭に戻る。



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