ゆめ | ナノ



「うがああああ!また負けた!」



倒れた相棒を前にして頭を抱え込み叫ぶ。私の可愛い可愛い相棒のゾロアークが、弱々しく「くぅん」と鳴いた。



「あああああ!ごめんねゾロアーク!お前のせいじゃないんだよ!あんたがいつもいつも頑張ってくれてるのは分かってるから!」
「がう?」
「うん、私はゾロアークが大好きだよ!だからそんなに悲しそうな顔しないで」
「わう!」



嬉しそうに抱き着いてくるゾロアークを抱き留める。ノドをゴロゴロと鳴らして頭をぐりぐりと押し付けてくる。

あああもう、なんでこの子こんなに可愛いんだろう…!



「シャンデラ、かえんほうしゃ」
「ぎゃあ!」



ふわっふわの毛に顔をうめながら、ゾロアークをぎゅうぎゅうに抱きしめていると、突然横を激しい炎が掠めた。



「なにするのよ!」



驚いたゾロアークは、モンスターボールへと戻ってしまった。

あああ、ゾロアーク…。

ちら、と髪の毛を見れば少しだけ焦げていた。微妙に縮れてるし、どうするのこれ。



「お前、うざい」



かえんほうしゃをしてきたトウヤを見れば、本当にうざったそうな顔でこちらを見ていた。

なにその顔、すげえむかつく。



「つーかお前負けたんだからさっさと賞金よこせよ」
「アンタそれでもチャンピオン?!見た目好青年のくせに、言ってることただのチンピラだよ!」
「そんなチンピラに負けたなまえが悪い」



負け惜しみで文句を言ってやればもっともな意見で捩じ伏せられてしまった。トウヤを睨みながら財布の中からお金を取り出す。



「これだけかよ。シケてんな…」
「悪かったですね!これだけですよ!!」



私はお前と違って、チャンピオンでもなんでもない、ポケモントレーナーという名のニートなんだよ!

そう叫びたくなったが、トウヤに無言で腕を引っ張られたので、黙ってついていくことにした。
とりあえず私はどこに連れていかれるんだ?



「あの、トウヤさん?」



腕をひかれながらトウヤをじっと見つめれば、チラリとこちらを見たあと、私の腰にあるモンスターボールを指差した。



「回復、するんだろ?」



言われてそのことを忘れていたことに気付く。ボールに触れればカタカタと動いた。



「回復したら飯でも食おうぜ、俺が奢ってやるから」



言いながら財布を出してにっこり笑うトウヤに思わずきゅんとする。

あれ、おかしいな。顔がいいのは元から知ってたけど、トウヤがいつも以上にかっこよく見える。ふっしぎー。



「まあお前から巻き上げた金でだけどな」
「さっきのきゅんを返せ」



ドS少年の遊戯



(上に上げて落とすのが俺の信条だから)
(お願いだから一発殴らせてください)
(倍返し余裕だけど)
(やっぱやめとく)





0410
萌苺。さんへ




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