ゆめ | ナノ



最近、至るところで嫌な会話が耳に入る。その大体が、先輩に対するひがみのような内容で、レッドさんがこちらに越してきてから、その量はさらに増えた。正直こちらとしては気分の悪くなる内容だけど、先輩に害はなさそうなので放っておいた。しかしもう一つ、簡単に放っておけない輩もいるからめんどくさい。それは、裏から手を回して、先輩をいたぶろうとする馬鹿共だ。基本的にそいつらは発見し次第、軽く叩いて牽制してきたので問題なかったはずだった。

はずだったのに。





×





いつものとおり教室を除いて、先輩の姿を探した。しかしなぜかその姿はなく、周りの人に確認してもいないとのことだった。グリーンさんとレッドさんに聞いても、どこに行ったのか知らないらしい。



「…先輩?」



どこに行っちゃったんだろう?

呟き、ある事柄にたどりつく。その最悪な事態を想像し、ため息をはくとともに、俺はすぐに走り出した。





×





走り出して数分。意外にも早く見つけることが出来た。しかし、その姿を確認するやいなや、俺は足を止めた。数人の女に、なまえ先輩は壁際に追い込まれていた。多分すごく怖いだろうに、先輩はそいつらをキッと睨みつけている。

手なんか震えちゃってるし、今にも泣き出しそうじゃないか。ダメだ。やっぱり、そんな先輩が可愛すぎる。



「…なまえ」



ふと隣を見ると、いつの間に来たのか、レッドさんが息を弾ませながら先輩の名前を呼んだ。今にも間に入って行こうとするレッドさんを片手で制止する。



「…ヒビキ」



不機嫌そうな声を出すレッドさんを一瞥してから言った。



「アンタはどいててください」



驚いた顔をするレッドさんを無視して、俺は先輩の元へとダッシュした。



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