「おはようなまえ」 「おはようございます、なまえ先輩!」 「よ!」 「…おはよう」 × レッドの新しい家は、私の家から歩いて3分くらいの距離にあった。そのせいかレッドは毎日のように私にくっついて登校しようとするし、一緒に帰ろうとする。レッドは大事な幼なじみだし、さして断る理由もないのでそのままにしていたら、わんこ化したヒビキがぷりぷり怒り出した。 「なんなんですか!最近レッドさんばっかりなまえ先輩独占してー!先輩は俺のだって言ってるじゃないですかー!」 ポカポカと叩きながら怒るヒビキに、レッドは鼻で笑って言った。 「はッ!悔しかったらヒビキも来ればいいだろ」 「むぅ!じゃあそうしますからね!俺、先輩のために頑張っちゃいます!それじゃ、せんぱーい、明日お迎えに行きますねー」 両手をぶんぶん振って逆方向に帰っていくヒビキを見て、まさか冗談だろうと思ったのに。 本気だったなんて! 朝起きて用意を済ませて家を出れば、にっこり笑った、ヒビキ、グリーン、レッド(無表情)がいた。そこで冒頭の会話に戻るわけなのです。 「…ていうかなんでグリーンまでいるの?」 「ヒビキに連れてこられた」 「連れてきちゃいました!」 言ってビシッと敬礼したヒビキに私はため息をつく。そんな私の手を取って、レッドは無言で歩きだした。 「え。レッド?」 「早く行かないと遅刻するよ」 「いや、まだまだ余裕超ありますけど…」 言えば無言で手をひかれた。 とりあえず歩けってことですか…。 仕方なく歩いていれば、ヒビキが走ってきて私の横についた。 「ちょっとレッドさん!なに気安く俺の先輩に触ってるんですか!」 「ヒビキのじゃない」 「俺のなんです!じゃあもういいですよ!俺も先輩と手繋ぐ!はい、先輩!」 言いながらヒビキは私の正面に立つと、にっこりほほ笑みながら右手を差しだしてきた。正直に言うと掴みたい。でも掴んだら負けな気がする。どうしたらいいか分からずヒビキの手をじっと見ていると、手がすすす、とこちらに近いてきて、私の右手を掴んだ。 …握手? 不思議に思い、首をかしげると、そのまま一気に腕をひかれた。 「う、わっ!」 「やっぱり手繋ぐだけじゃ足んないです」 私をぎゅうっと抱きしめながらヒビキは私の耳元で言った。 どうしよう私、ヒビキに殺されるかもしれない(キュン死的な意味で) 「先輩なんかいい匂いする」 「なっ!早く離れなさい!」 「だから、早く行かないと遅刻するってば…」 |