12月31日。1年を締めくくる日であり、翌年へ気持ちを切り替える日でもある。年越しの瞬間には、毎年恒例である、某笑ってはいけない番組を観て、家族と一緒に団らんしながら、彼氏と一緒に初詣でに行く友人たちを思って、ハンカチを噛みしめていた。だがしかし、今年はなんと、彼氏がいるわけで、新しい年を一緒に迎えようと、初詣でのお誘いに来ていた。 「というわけで一緒に初詣でに行きませんか、トウヤ君」 いつもの3倍くらいの笑顔でトウヤ君に問えば、少し沈黙した後に、怪訝そうな顔で「は?」と言われた。 いや、は?じゃなくてですね。 「だから初詣」 「寒いから却下」 で、という前に却下と言われ、言葉が詰まる。そんな私を知ってか知らずか、トウヤ君はお茶を啜りながら雑誌を読んでいる。いや、多分知っててやってるんだろうけれど。 「私の彼氏様が冷たいです神様」 「俺より冷たいのは間違いなく外気だよクソ下僕」 相も変わらず雑誌に目を向けたままそう言ってのけるトウヤ君に、私はため息を漏らした。最近、気温も下がってきたのも相まって、トウヤ君は外に出なくなった。たまの休みに電話をすれば家に来いと言われ、トウヤ君の昼食を作ったり、暇つぶしに部屋の掃除をしたり、そればかりだ。 あれ、ちょっと待って。これって本当にただの下僕? 「…なに百面相してんだよ」 ビシッとでこぴんされ、我に返る。目の前にはいつの間にかトウヤ君が来ていて、私の顔をじっと見つめていた。 「別になんでもないです」 「拗ねてんの?」 サラリと私の髪を撫でながら問いかけてくるトウヤ君の問いに、図星をさされ、またまた言葉に詰まる。しばらくの沈黙の後、ぐいっと腕をひかれ、体勢を崩してトウヤ君へもたれかかる。そんな私の体をギュッと抱きしめて、トウヤ君は私の肩に顔をうめた。 「―じゃ、ダメなの?」 「え?」 ボソリとトウヤ君が呟いた言葉が信じられなくて、思わず聞き返す。 「…もう言わねえ」 君と過ごす特別な日 テレビの向こうでは、白川郷の映像が流れていた。 「なんで番組のチョイスがこれなの…」 「年越しっぽいだろ」 「それは確かにそうだけど。トウヤ君ってなんかちょっと渋いよね。お茶好きだし」 お茶を片手に年越しそばを食べるトウヤ君を横目で見て、私もそばをすすった。 「好きなものは好きなんだから仕方ないだろ」 「あ、0時だよ!5,4,3,2、1…」 言った瞬間、唇を塞がれる。テレビの向こうでは、ただ静かに除夜の鐘が鳴り響く。 「あけましておめでとう」 言ってニヤリと笑うトウヤ君にくらりとしながら、昼間言われた言葉を思い出して、さらに恥ずかしくなった。 『一緒にいるだけじゃ、ダメなの?』 あなたと一緒にいられるだけでとてもとても幸せです。 0101 新年あけましておめでとうございます |