※ヒビキがチャンピオンな設定 『第○○回ポケモンリーグ、勝者は、チャンピオンのヒビキ!』 テレビから聞こえてきた名前に、先程までじゃれあっていた2人が同時にテレビを見る。 「ぱぱすごいねー」 「ねー」 テレビを観ながら目をキラキラさせている2人を見て、思わず笑みが零れる。 「ぼく、大きくなったらぱぱみたいなちゃんぴおんになる!」 「ゆめも!」 「だめだよ!ちゃんぴおんはひとりだけなんだよ!」 「ゆめがちゃんぴおんだからいちくんはだめなのー!」 「ゆめじゃなくてぼくがちゃんぴおんだよ!」 「こら!喧嘩しちゃだめでしょー。ぱぱが帰ってきたらびっくりしちゃうでしょ!」 なんて言いながら、きのうのことを思い出す。きのうもおとといも、帰るって言ってたのに、ヒビキは帰ってこない。 寂しいなあ… 「まま?」 「どうしたの?だいじょうぶ?」 心配そうに2つのくりくりした可愛らしい目がこちらを見る。そんな2人を見て、寂しいっていう気持ちが薄らいできた。 「大丈夫だよ。ちょっと寂しかったけど、ままにはいちとゆめがいるもんね」 にっこり笑ってそう言えば、2人の顔が私の後方を見て、一瞬で固まった。何事かと思い、振り返ろうとすれば、久々に感じる慣れた温かい体温と、太陽みたいな匂い。 「俺もいるよ」 「ぱぱ!」 「ぱぱーおかえりなさい!」 とても嬉しそうに笑いながらヒビキに飛びつくいちとゆめ。ヒビキは私を解放して、2人を受け止めた。 「いちーゆめー!帰るの遅くなってごめんな!あれ?いち、ちょっと身長伸びたか?ゆめはままに似てますます美人さんになったんじゃねー?」 2人はヒビキの言葉を聞いてこれまた嬉しそうに笑うと、ヒビキのためにとっておいたお菓子を取りに行った。 「とっておいたお菓子って、賞味期限とか大丈夫なのか?」 「…ヒビキ」 2人の走った方を見て、楽しそうな顔で笑っていたヒビキを呼べば、見慣れた笑顔でこちらを向いて、ん?と返事する。そんなヒビキに、私はたまらなくなりだきついた。 「なんだよー、俺に会えなくて、そんなに寂しかった?」 からかうように笑うヒビキに、寂しかったなんて言えるはずもなく、ただただ首を振る。そんな私を見てヒビキは、素直じゃないなー、なんて言いながら優しく笑った。 「なまえ」 「…なに」 「ちゅーしよっか」 「…する」 変なところで素直な私は、その言葉に頷くと、静かに目を閉じた。 「ままとぱぱ、ちゅーしてる!」 「らぶらぶだね!」 「お前らなに見てんだよー」 ヒビキがははは、と笑いながらいちとゆめに飛び掛かる。きゃーと叫びながら逃げる2人と、楽しそうに追いかけるヒビキを見て、やっぱり幸せだなー、なんて思った。 0707 前サイトより移動 |