ゆめ | ナノ



家中に可愛らしい泣き声が響く。私は昼食を作る手を止めて、急いで愛娘のところへ向かった。



「どーしたのーそんなに泣いてー」



抱き上げてあやすけど、泣き止む気配はない。小さい口から出る声は、とても大きくて、久々のお休みで熟睡してる旦那様が起きちゃうかもしれないと、必死にどうにか泣き止んでもらおうとする。



「ゆめちゃーん、どうしたの?ぱぱ起きちゃうよー」
「なまえー、大丈夫か?」
「あ、グリーン」



案の定、グリーンが眠そうに欠伸をしながら部屋に入ってきた。



「ごめんね、せっかくの休みなのに…」
「ん。気にすんな。子供は泣くのが仕事っていうからな」



グリーンは言いながら、私の腕からゆめを抱き上げた。



「あ」
「ゆめは俺に任せて、お前は早く飯作れよ。腹減った」
「じゃあお願い」



グリーンはおう、と言って笑うとゆめをあやし出した。意外にもゆめはすぐに泣き止んで、グリーンを見て嬉しそうに笑っていた。



「ぱん、ぱあー!」
「…!っなまえ!今ゆめがぱぱって言ったぞ!聞いてたか!?ほらゆめ、もう一回!」
「ぱぁぱ?」



グリーンは本当に嬉しそうに笑うと、「ほら、ゆめ、次はままって言ってみ」と、今度はままと言わせるのに夢中になっていた。

そんな2人を見て、幸せだなー、なんて思いながらぼーっとしていると、鍋が吹きこぼれているのに気付き、慌てて火を止めた。

…なんだか今からぱぱっ子になってしまいそうで心配です。





0520
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