ピカチュウと一緒にじゃれていると、なまえとゆめが目の前でなにやらコソコソと話しているのが目についた。最初こそ知らないふりをしていたが、ゆめがチラチラとこちらを見てくるから、耐え切れなくなって、声をかけた。 「なに」 僕が急に発したことで、ゆめがビクッ!と肩を揺らす。まるで出会ったばかりのころのなまえだ。 「あ、あのねぱぱ」 ゆめがもじもじと頬を赤らめてえーとかうーとか言っているのを見てどうすればいいのか分からなくなり、なまえに助け舟を出す。無言でなまえを見つめれば、楽しそうにまたゆめとコソコソ話し出す。 一体なにを話しているんだろう? 気になるけど、ゆめからのアクションを待ってみる。ゆめはようやく言う決心が付いたのか、僕に向き直った。 「ぱぱ、よく聞いてね」 「うん?」 「あのね」 次にゆめが発した言葉にたまらなくなり、僕はゆめの頭を優しく撫でた。目の前には顔を赤らめて固まるゆめの姿。 「なに?」 「なんでもない!」 ゆめはそう叫んで部屋から走って出ていってしまった。 「どうしたんだろう?」 「レッドはもう少し自分が美形だということを自覚するべきだと思うよ」 なまえの言葉を右から左に流し、さっきゆめに言われた言葉を思い出した。 「大きくなったらぱぱのお嫁さんにして!」 なまえによると、それを聞いたとき僕は、今までにないくらい優しい笑顔を浮かべていたらしい。 0516 前サイトより移動 |