私となまえは小学校からの友達で、なまえが話し掛けてくれたのをきっかけに、驚くくらい仲良くなった。だからなまえが電話越しに弱音を吐いたことにも、涙を流したことにも、私はとても驚いた。彼女は昔から泣かない子であったし、私の前では気丈に振る舞っていたから。だから、嬉しかったの。 「なまえ、大丈夫?」 泣いているなまえを放っておくわけにもいかず、私はとりあえず彼女と義理の弟くんが住んでいる家にすぐに駆け付けた。インターフォンを押してしばらくして顔を覗かせたのは、見慣れた愛らしい顔ではなく、ひどく顔の整った、噂や写真では見慣れた青年だった。義理の弟、トウヤくんに一礼をして、わたしは家にと上がった。ノックをして彼女の部屋に入ると、涙で顔をくしゃくしゃにしたなまえがすぐに飛んできて、私の胸に飛び込んできた。 「なまえ、なにがあったの?…説明して?」 しばらくしゃくりあげるなまえだったけれど、落ち着いたのか、涙をゴシゴシと拭うと、私の目を見て頷き、ゆっくりと話し出した。 × なまえの話した内容をまとめるとこうだった。 ―とても大切な人に突然告白され、拒絶すれば二度と触れられない。出来ることならばそばにいたい。目に見える、手の届く場所にいたい。でも、自分の気持ちが分からない。 それをしゃくりあげながら必死に説明してから、なまえは私にどうしようと問いかけてきた。私としては、なまえには幸せになってもらいたいし、ずっとずっと笑っていてほしい。電話やメールで、義弟くんの話をしているときのなまえは、とても幸せそうだった。きっとなまえが気付いてないだけで、きっと。 「ねえなまえ。こう考えてみて」 微笑んだ先の彼女は、こぼれた涙を拭いながら、私を見ていた。 |