ゆめ | ナノ



「なまえが好き」



少しだけ頬を染めて言った彼に視線を向ける。白い肌にくりくりした瞳、長い睫毛は頬に少しだけ影をつくる。女の子の私より可愛い顔してるくせに、こういうときだけは、そこらへんの男の子なんかよりかっこいい。本当、ずるいなあ。なんて思いつつ、はにかみながら言った。



「私も好きだよ」



そう言った瞬間。うっすらピンク色をした綺麗な形の唇が少しだけ開かれて、私のものに重ねられた。



―これが、私たちのはじまり。



純白の衣装に包まれながら、昔の記憶を思い出す。思えば、あの頃からトウヤ君は強引だったな。プロポーズのときだって、いきなり私の実家にきたと思ったら、お父さんとお母さんに「なまえは僕がもらっていきますね」なんて言って、突然だったからびっくりして泣いちゃった私の頭を、トウヤ君は優しく笑って撫でてくれた。そんな私たちを見たお父さんが「こんな娘でよければもらってやってくれ」なんて嬉しそうに笑うから、涙がとまらなくなってトウヤ君に抱きついた。

トウヤ君はいつもそう。強引だけど肝心なときは優しくて、辛いときはいつも傍にいてくれて、これから先、何十年先まで傍にいられるなんて、私はなんて幸せ者だろう。

一人でくすりと笑っていると、スタッフさんが呼びにきた。



「式の準備が整いましたので、ご案内いたします」
「はい」



返事をしてから立ち上がる。スタッフさんの後ろを歩きながら、バージンロードの先にいるであろうトウヤ君の姿を想像する。

きっとものすごくかっこいいんだろうなあ。

スタッフさんに指示されて、大きな両開きのドアの前に立つ。いつもとは違い正装したお父さんの隣に立てば、お父さんは目を細めて幸せそうに微笑んだ。



「なまえ」



お父さんに名前を呼ばれ、差し出された腕に自分のものを絡める。



「行くぞ」
「うん!」



扉が開く。白い光に目を細めれば、真っ白いタキシードに身を包んだトウヤ君が立っていた。

思っていたとおり、ものすごくかっこいい。

私はたしかな足どりでトウヤ君へと歩いていく。バージンロードはとても短かった。お父さんの腕を離し、トウヤ君の腕に自分の腕を絡める。



「なまえ」



トウヤ君が綺麗な顔で微笑む。

ああ、なんて幸せなんだろう。

指輪を交換して、ベールを持ち上げられる。



「愛してる」



愛を囁かれ、お互いの唇が重なる。

白い光の中で結んだ誓いは絶対になくさない。


健やかなるときも
病めるときも

喜びのときも
悲しみのときも

富めるときも
貧しいときも

私は変わらずにあなたを愛し続けます



スタートライン



そしてまた、私たちの物語ははじまる。





0330
びっくりするくらい白いトウヤ君を前サイト女王より




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